近年、ビジネスシーンでは「オープンデータの活用」が注目を集めています。しかしながら、なかにはオープンデータとは何なのか? 具体的にどのようなシーンで活用されていて、どうやってデータを入手するのか知らない方も多いでしょう。
そこで本記事では、オープンデータの特徴、メリット・デメリット、具体的な活用事例、さらには入手先まで、詳しく解説します。最後までご覧いただくことで、オープンデータの全体像を理解し、ビジネスシーンや日常生活に役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
オープンデータとは
オープンデータとは、「誰もが自由にアクセスし利用できるデータ」を指します。政府機関や公共機関、企業などが提供する様々な種類があり、どれもが無償かつ再利用が可能です。
オープンデータは、誰でも自由にダウンロードしたり、分析や加工を行ったりできるため、新たな価値を生み出すことができます。したがって、オープンデータは社会全体の共有資源として、新しいアイデアやサービスの創出に役立てられる「データの宝庫」ともいえるでしょう。
オープンデータの特徴とは
オープンデータは、単にインターネット上に公開されたデータではなく、特定の基準を満たしていることが必要です。オープンデータには以下の特徴があります。
- 自由にアクセス・利用できる
オープンデータは、基本的に誰でも無料でアクセスでき、制限なく利用できるものです。特定の個人や企業だけが使えるデータではなく、公共の財産として広く提供されることが求められます。
- 機械判読可能な形式で提供される
データが活用しやすいよう、機械で読み取れる形式(CSV、JSON、XMLなど)で提供されるのが一般的です。画像やPDFのように人間が視認できても、機械で処理しにくいデータはオープンデータとしての活用が難しくなります。
- ライセンスが明確である
利用者が安心してデータを活用できるように、オープンデータは明確なライセンスが設定されている必要があります。たとえば、「CC-BY(表示)」ライセンスでは、出典を明記すれば自由に使用できることが示されています。
- 再利用・再配布が可能
オープンデータは、誰でも自由に再利用できる必要があります。データをもとに新しいサービスを開発したり、別のデータと組み合わせたりして、新たな価値を生み出すことが可能です。
- 持続的に更新される
古いデータのままでは情報としての価値が下がるため、オープンデータは定期的に更新されることが重要です。特に、統計データや気象データなどはリアルタイム性も求められます。
オープンデータが注目されている背景
オープンデータが注目される背景には、デジタル技術の進化と社会の変化が大きく関わっています。インターネットの普及により、大量のデータが簡単に収集、共有されるようになりました。これにより、データの価値が再認識され、その公開と活用が推進されています。
また、市民の情報に対する意識の高まりも一因です。透明性と公開性を求める声が強まる中、政府や企業はオープンデータを通じて情報公開を進め、信頼性とアカウンタビリティを高める努力をしています。
さらに、オープンデータは新しいビジネスチャンスの創出や社会課題の解決にも寄与しており、これらのポテンシャルが広く認識されるようになりつつあります。
オープンデータのメリット
オープンデータの活用には、多くのメリットがあります。行政の透明性向上やビジネスの発展、社会課題の解決など、さまざまな分野でその価値が発揮されています。ここでは、オープンデータがもたらす主なメリットについて詳しく解説します。
行政の透明性と信頼性の向上
オープンデータを公開することで、行政の情報が誰でもアクセスできるようになり、透明性が向上します。これにより、政策決定のプロセスを市民が把握しやすくなり、行政への信頼性も高まります。また、データに基づいた議論が可能になり、より公平で効果的な政策運営が期待できます。
ビジネスの創出とイノベーションの促進
オープンデータは、新たなビジネスの創出やサービスの開発に活用されることが増えています。たとえば、交通データを活用したナビゲーションアプリや、気象データを基にした農業支援ツールなどがその例です。企業やスタートアップにとって、オープンデータは低コストで活用できる貴重なリソースとなり、イノベーションの加速につながります。
社会課題の解決と市民サービスの向上
防災情報や医療データ、教育データなどのオープンデータを活用することで、社会課題の解決に貢献できます。たとえば、全国避難所データベースを活用した防災アプリや、日本全国AEDマップのような救命支援サービスなど、市民の安全や生活の利便性を向上させる取り組みが進んでいます。
データ活用による業務効率化
オープンデータの活用は、企業や行政の業務効率化にも役立ちます。たとえば、自治体が提供する統計データを活用することで、調査や分析にかかる時間とコストを削減できます。また、データをAPIとして提供することで、外部システムとの連携がスムーズになり、情報共有のスピードも向上します。
オープンデータのデメリット
オープンデータは多くのメリットをもたらしますが、一方でいくつかの課題やリスクも存在します。データの質や管理体制、プライバシーの問題など、適切に対応しなければならない点が多くあります。ここでは、オープンデータの主なデメリットについて詳しく解説します。
データの品質と信頼性の問題
オープンデータは、必ずしも最新の情報が反映されているとは限りません。更新頻度が低い場合や、データの不備・誤りがある場合、利用者が正確な情報を得られず、誤った意思決定につながる可能性があります。また、データのフォーマットが統一されていないこともあり、利用しにくいケースもあります。
プライバシーとセキュリティのリスク
オープンデータには、個人情報や機密情報が含まれないように注意が必要です。しかし、匿名化されたデータであっても、複数のデータを組み合わせることで個人を特定できてしまうリスクがあります。また、データの悪用や不正利用の可能性もあり、適切な管理が求められます。
運用コストと管理負担の増加
オープンデータを適切に管理し、定期的に更新するには、一定のコストと人員が必要になります。特に行政機関や企業がデータを提供する場合、データの収集・整理・公開にかかる負担が大きくなることがあります。また、フォーマットの統一やシステムの維持管理にもコストがかかるため、持続可能な運用体制を整える必要があります。
不適切な用途で利用される可能性がある
オープンデータは誰でも利用できるため、意図しない形で誤用される可能性があります。例えば、データの一部を切り取って誤った情報として拡散されたり、不正確な分析結果が出回ったりするリスクがあります。データの正しい使い方を理解し、責任を持って利用することが重要です。
オープンデータの活用事例
オープンデータの活用は、多様な分野で革新的なサービスや製品の開発を促進しています。ここでは、オープンデータを活用して成功を収めた事例を5つご紹介します。
これらの事例は、オープンデータの可能性を示すとともに、新たなビジネスチャンスを模索する際の参考になるでしょう。
アグリノート

出典:アグリノート
アグリノートは、農業分野でのオープンデータの活用事例です。このサービスは、農業データを集約し、農家が作物の栽培管理を効率化するための支援を行います。
気象データや土壌情報などのオープンデータを活用し、農家が作物の成長状況を正確に把握し、適切な農薬の散布時期や収穫時期を予測することが可能になります。これにより、作物の品質向上や収穫量の増加に寄与しています。
マイ広報誌

出典:マイ広報誌
「マイ広報誌」は、全国の自治体が発行する広報誌をデジタル化し、オンラインで閲覧できるサービスです。自治体の広報誌をオープンデータとして活用し、地域ごとの最新情報を集約・提供しています。
検索機能により、必要な情報を素早く見つけられるのが特徴で、行政サービスの変更や地域イベント、防災情報などを簡単に確認できます。紙の広報誌を読めない人にも情報を届けられる仕組みとして、自治体の情報発信の効率化に貢献しています。
自治体の広報情報のアクセシビリティ向上と、市民との情報共有を促進する優れたオープンデータ活用事例の一つです。
全国避難所データベース

出典:全国避難所データベース
「全国避難所データベース」は、内閣府と地方自治体が公開している避難所情報を使用して作成されたWebアプリです。このアプリは、災害時に役立つ防災アプリとして開発されました。従来、避難所情報は紙で保管されることが多く、改定時には情報の編集や地図の使用申請などに手間がかかっていました。
このアプリは、災害時にどこからでも全国の避難所情報を確認できるようにすることで、これらの課題を解消しました。情報は各自治体と在日外国大使に無償で提供され、民間企業は有償で利用可能です。
日本全国AEDマップ

出典:日本全国AEDマップ
「日本全国AEDマップ」は、全国の自治体が提供するオープンデータに加え、サイトに登録された利用者からのAED情報を基に、AEDの設置場所を知ることができるアプリです。このアプリでは、AEDの設置場所だけでなく、設置施設の利用可能時間も分かり、現在どこのAEDを使えるかを迅速に把握できます。
アプリは現在地を中心に最寄りのAED設置場所を表示し、マップ上のマークをタップすることで、設置場所の住所や利用時間などの詳細情報を提供します。また、新たなAED設置場所を見つけた場合や撤去されていた場合には、新規投稿機能を利用して情報を登録することができます。
カーリル

出典:カーリル
カーリルは、図書館の蔵書情報をオープンデータとして活用したサービスです。全国の図書館から提供される蔵書データを集約し、ユーザーがオンラインで簡単に図書の所在や貸出状況を確認できるようにしています。
このサービスにより、利用者は自宅近くの図書館で希望の本が借りられるかどうかを事前に調べることができ、図書館利用の利便性が大幅に向上しました。
オープンデータの入手先
オープンデータは、政府機関や公共機関、国際機関などが提供する貴重な情報源です。これらのデータは、ビジネス戦略の策定、研究、教育など様々な目的で利用されています。
ここでは、オープンデータを入手できる主要なプラットフォームやウェブサイトを紹介します。これらのサイトを活用することで、必要なデータを効率的に見つけ、活用することができます。
データカタログサイト

出典:e-Govデータポータル
データカタログサイトは、様々な公共機関が提供するオープンデータを一元的に検索し、アクセスできるポータルサイトです。これらのサイトでは、政府統計、地理情報、環境データなど、多岐にわたるデータがカテゴリ別に整理されており、必要な情報を迅速に見つけることが可能です。
例えば、デジタル庁が運営する「e-Govデータポータル」は、行政機関が公開しているオープンデータを横断的に検索することができるデータポータルサービスです。人口・世帯、犯罪率、交通事故発生率、自治体の給付金情報など、多様なジャンルのデータを提供しています。
e-Stat

出典:e-Stat
e-Statは、日本政府が提供する統計データのポータルサイトです。ここでは、労働、医療、社会保障など、日本の様々な分野に関する統計データを閲覧・ダウンロードすることができます。
ユーザーは特定の分野や統計に関するデータを簡単に検索し、グラフや地図上での表示も可能です。これにより、日本の社会や経済に関する詳細な情報を得ることができます。
ADBデータライブラリ

出典:ADBデータライブラリ
ADBデータライブラリは、アジア開発銀行が提供するオープンデータのウェブサイトです。アジア太平洋地域のGDP成長率や開発見通しなど、経済に関する最新のデータが提供されています。
特にアジア圏でビジネスを展開している方や、これから展開を考えている方にとっては、非常に有益な情報源となります。サイトは英語で提供されていますが、ブラウザの翻訳機能を利用すれば容易にアクセスできます。
data.gov

出典:data.gov
data.govは、アメリカ政府が提供するオープンデータサイトです。食物生産、地球エネルギー、健康、気候変動など、幅広い分野に関するデータが公開されています。データ形式はHTML、PNGなど多様で、アイコンでわかりやすく表示されています。
こちらのサイトも英語で提供されていますが、幅広い分野のデータを提供しているため、多くの研究者やビジネスパーソンにとって価値ある情報源です。
UNSD(国連統計部)

出典:UNSD
UNSD(The United Nations Statistics Division=国連統計部)は、国連が提供する統計データのポータルサイトです。世界各国の経済、社会、環境に関する統計データが提供されており、国際的な視点でのデータ分析や比較研究に非常に役立ちます。
UNSDを利用することで、グローバルな課題に対する深い理解や、国際的なビジネス戦略の策定に役立つデータを得ることができます。
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オープンデータを活用するためには、適切なデータの収集が欠かせません。しかし、公開されているオープンデータは多様なフォーマットやサイトに分散しており、手作業で収集するのは非常に手間がかかります。そこで活用できるのが、Webスクレイピングツール「Octoparse」 です。
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- プログラミング不要で簡単にデータ収集
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- 大量のデータを自動収集・更新可能
一度設定すれば、大量のデータを定期的に取得できるため、リアルタイムの情報収集にも対応可能です。
- 複数のサイトからデータを統合
気象データや交通データ、政府統計など、複数のオープンデータソースを横断的に収集し、一元管理できます。
- CSVやExcel形式でエクスポート可能
取得したデータは、ExcelやCSV形式でダウンロードできるため、分析やシステムへの取り込みがスムーズに行えます。
まとめ
本記事では、オープンデータの基本概念からその目的、入手方法、さらには具体的な活用事例までを幅広く紹介しました。オープンデータは、政府や公共機関、企業などが提供する再利用可能なデータであり、その活用は社会の透明性を高め、イノベーションの創出に貢献します。
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