Octoparseをはじめとした「Webスクレイピングツール」が登場したことで、多くの分野でWebスクレイピングの活用が進んでいます。スクレイピング自体は違法ではありませんが、Webサイトによっては、利用規約にてWebスクレイピングの利用を禁止しています。
そうした際に、「Webスクレイピングをバレずに行うにはどうしたらいい?」といった疑問を抱く方も多いでしょう。そこで本記事では、スクレイピングをバレないようにするための5つの対策を解説します。
Webスクレイピングの利用に不安を感じる方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
スクレイピングは違法?Webスクレイピングに関する10のよくある誤解!
スクレイピングとは
スクレイピングとは、ウェブサイト上のデータを自動的に抽出する技術のことを指します。この技術を用いることで、手作業では到底不可能な大量の情報を迅速に収集することができます。例えば、商品の価格情報やレビュー、競合他社の動向など、さまざまなデータを効率よく収集することが可能です。
わかりやすく言えば、スクレイピングとはウェブサイトの内容をプログラムを使って自動的にコピーする仕組みです。ただし、スクレイピングは適切に行わなければ、技術的な問題や法的なリスクを伴う可能性があるため、注意が必要です。
例えば、Webスクレイピングによって相手サーバーに負荷が掛かり、最悪サーバーダウンにつながる可能性があります。もし、サーバーダウンによって相手の業務に支障がでたら、損害賠償責任や偽計業務妨害罪などに問われるでしょう。
そのため、Webサイト所有者はWebスクレイピングを制限するために、スクレイピング防止技術を装備して、Webスクレイピングはより困難になっています。
スクレイピングのメリット
スクレイピングには多くのメリットがあります。特に、以下のような点が挙げられます。
データ収集効率化
スクレイピングの最大のメリットは、データ収集の効率化です。手作業で行う場合、多くの時間と労力を要するデータ収集も、スクレイピングツールを使えば自動的に短時間で完了します。例えば、大量の商品の価格情報を集める場合、手動で一つずつ確認するのは現実的ではありません。
しかし、スクレイピングを利用すれば、数分で必要なデータを全て取得することができます。これにより、マーケティング戦略の迅速な展開や、競争優位性の確保が可能になります。
APIが共有していないデータを取得できる
多くのウェブサービスはAPIを提供していますが、全てのデータがAPI経由で取得できるわけではありません。スクレイピングを利用すれば、APIが提供していないデータも取得可能です。
例えば、特定の商品の詳細なレビューや、ユーザーコメントなど、APIでは取得できない情報もスクレイピングであれば収集することができます。これにより、より豊富なデータセットを活用して、精緻な分析やインサイトの獲得が可能となります。
ビジネスや研究で広範に利用できる
スクレイピングは、ビジネスや研究の分野で広く利用されています。例えば、競合分析、市場調査、SEO対策など、さまざまな用途で活用されています。
また、学術研究においても、大規模なデータ収集や分析を行う際に、スクレイピングは非常に有用です。データの迅速な収集と分析により、ビジネスの意思決定をサポートし、研究の精度を高めることができます。
スクレイピングのデメリット
スクレイピングには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下にその主要なデメリットを紹介します。
アクセス拒否
スクレイピングを行う際、ウェブサイト側からのアクセス拒否に直面することがあります。多くのサイトは、サーバーへの負荷を軽減するために、ボットによるアクセスを検出してブロックする仕組みを持っています。
具体的には、IPアドレスのブロックやCAPTCHAの導入などがあります。これにより、継続的にデータを取得することが難しくなります。対策としては、アクセスの頻度を抑えたり、IPアドレスを分散させるなどの工夫が必要です。しかし、これらの対策にも限界があるため、完全に回避することは難しいでしょう。
技術取得に時間がかかる
スクレイピングを効果的に行うためには、一定の技術力が必要です。初心者がスクレイピングを始めるには、プログラミングの基礎知識や、HTML、CSSの理解が求められます。
また、サイトごとに異なる構造に対応するためのスクリプト作成や、アクセス制限を回避するための技術も必要です。このように、スクレイピングを習得するには時間と労力がかかるため、短期間での導入は難しい場合があります。
法的リスク
スクレイピングには法的リスクが伴うことも忘れてはなりません。多くのウェブサイトは利用規約でデータの無断取得を禁止しており、これに違反すると法的なトラブルに発展する可能性があります。
特に、データを商業目的で利用する場合、著作権侵害や不正アクセス防止法違反などのリスクが高まります。そのため、スクレイピングを行う際は、対象サイトの利用規約を確認し、法的なリスクを十分に理解した上で進めることが重要です。
スクレイピングがバレる原因とは
Webサイトによっては意図的にスクレイピングをブロックする仕組みを構築しています。スクレイピングは短時間に大量のリクエストを送るため、サーバーの過負荷に耐えきれずサーバーダウンに繋がる可能性もありますし、サイト内で扱っているデータを勝手に取られたくないといった思惑があるからです。
スクレイピングを防ぐ主な方法としては2つ挙げられます。
- CAPTCHA(キャプチャ)
- IPアドレスブロック
CAPTCHA(キャプチャ)は、画像やテキストを用いて、Webサイトにアクセスしているのが人間かコンピューターかを識別するために用いられる手法です。有名なサービスでは、Googleの「reCAPTCHA」などがあります。
IPアドレスブロックは、同一のIPアドレスから短時間で大量のリクエストを検知した場合に、そのIPアドレスからのアクセスを遮断する方法です。こうした手法を活用し、スクレイピングの脅威やそれに伴うリスクを防いでいます。
スクレイピングがバレるとどうなる
スクレイピングがバレた場合、以下のような結果が生じる可能性があります。
- アクセス制限:ウェブサイトの所有者は、スクレイピングを検出すると、あなたのIPアドレスやユーザーエージェントをブロックすることがあります。これにより、そのウェブサイトへのアクセスが制限される可能性があります。
- 法的措置:ウェブサイトがスクレイピングを違法と判断する場合、法的措置を取る可能性があります。これには、警告や法的な訴訟などが含まれます。特に、個人情報や著作権で保護されたコンテンツをスクレイピングした場合は、重大な法的な問題に発展する可能性があります。
- 評判の損失:スクレイピングがバレると、倫理的な観点からも評判が損なわれる可能性があります。特に、個人データの不正利用や、競合他社の情報を不正に入手した場合、信頼性やビジネス上の信頼が失われる可能性があります。
スクレイピングをバレないようにする方法・対策5選
スクレイピングがブロックされる原因を理解したところで、ここからは相手にスクレイピングをバレないように行う方法を紹介します。スクレイピングがばれるときに助けになると思います。
1. スクレイピングのスピードを落とす
ほとんどのWebスクレイピング作業は、できるだけ早くデータを取得することを目的としています。当然ながら、Webスクレイピングと比べて、人間がWebサイトにアクセスするスピードは遅くなります。
そのため、アクセス速度によって、サイト側はWebスクレイパーからのアクセスであるかどうかを判断できます。アクセスが早すぎることが判明したら、Webスクレイパーの疑いがあると判断され、そのアクセスをブロックします。
つまり、Webサイトに負荷を掛け過ぎないことが重要です。Webスクレイパーのアクセスリクエストの時間を空け、可能な限り低速でスクレイピングします。相手サーバーに負荷を掛けずに優しくすれば、確実にスクレイピングを続けることができます。
Octoparseでは、ワークフロー内のステップの待ち時間を設定して、スクレイピングのスピードをコントロールできます。スクレイピングをより人間的に実行するための「ランダム」を選択することも可能です。
2. プロキシサーバーを使う
Webサイトが単一のIPアドレスから、多数のリクエストを検出した場合、そのIPアドレスはブロックされやすくなります。すべてのリクエストを同じIPアドレスから送信しないようにするには「プロキシサーバー」を使用するのが有効です。
プロキシサーバーとは、他のコンピュータの「代理」として他のサーバーと通信するサーバーのことを指します。つまり、真のIPアドレスを隠して、設定したIPアドレスを使ってWebサイトにリクエストを送ることが可能です。
ただし、プロキシサーバーに設定されている単一のIPアドレスだけを使用しても、ブロックされやすい状態は変わりません。そこで、IPアドレスのプールを作成し、異なるIPアドレスをランダムに使用してリクエストを送る必要があります。それをIPローテーションといいます。
クラウドサービスのOctoparseは、それぞれ独自のIPアドレスを持つ何百台のクラウドサーバーによってサポートされています。抽出タスクの実行がクラウドに設定されている場合、ターゲットのWebサイトごとに、さまざまなIPアドレスを介してリクエストが行われるため、追跡される可能性を最小限に抑えられます。また、ローカル抽出であればブロックされないように手動でプロキシを設定できます。
異なるスクレイピングパターンを適用する
人間がWebサイトを閲覧する場合はクリックや閲覧時間が不規則になります。しかし、Webスクレイピングは、あらかじめプログラムされた特定のクローリングパターンに従うため、規則的になります。スクレイピングを防ぐ場合は、Webサイトで実行された規則的なスクレイピング動作を識別することで、クローラーを簡単に検出できるのです。
そのため、Webスクレイピングでは、スクレイピングパターンを都度変更して、ランダムなクリック、マウスの動き、リクエストなどを、より人間的にするための待ち時間をワークフローに組み込む必要があります。
Octoparseでは、3〜5分程度で簡単にワークフローを設定できます。ドラッグ&ポイントを使用してクリックやマウスの動きを追加したり、ワークフローをすばやく再構築したりすることで、開発エンジニアのコーディング時間を大幅に節約し、非エンジニア担当者が独自のスクレイパーを簡単に作成できるようにします。
4. ユーザーエージェントを切り替える
ユーザーエージェント(UA)は、リクエストのヘッダーにある文字列で、Webサーバーに対するブラウザとオペレーティングシステムを識別します。Webブラウザによるすべてのリクエストには、ユーザーエージェントが含まれています。
一つだけのユーザーエージェントで異常に多数のリクエストを送信すると、ブロックされる可能性があります。ブロックを回避するためには、ユーザーエージェントを頻繁に切り替える必要があります。
多くのプログラマーは、偽造されたユーザーエージェントをヘッダーに追加するか、ブロックされないように手動でユーザーエージェントのリストを作成します。Octoparseを使用すると、ユーザーエージェントの切り替えを自動化できるため、ブロックされるリスクを減らすことができます。
ハニーポットトラップに注意する
ハニーポットとは、わざと不正アクセスやサイバー攻撃を受けやすいように設定した機器を徹底的に監視して相手の手口を分析する手法のことです。
通常の訪問者には見えないリンクで、HTMLコード内にあり、Webスクレイパーによって見つけることができます。つまり、スクレイパーがハニーポットページを閲覧すると、そのWebサイトはそれが人間の訪問者ではないことを識別でき、そのクライアントからのすべてのリクエストを抑制またはブロックします。
特定のサイト用のスクレイパーを作成するときは、標準のブラウザを使用してユーザーに隠されたリンクがあるかどうかを慎重に確認することをお勧めします。
Octoparseは、偽のリンクをクリックしないように、正確なキャプチャやクリック操作にXPathを使用します。詳しくは、XPathを使用して要素を見つける方法の記事をご覧ください。
スクレイピングがバレた時の法的リスクと対処法
スクレイピングが発覚した場合、さまざまな法的リスクに直面する可能性があります。これに対処するためには、適切な対応策を講じることが必要です。以下に、具体的なリスクと対処法を解説します。
著作権侵害のリスク
スクレイピングを行う際、ウェブサイトのコンテンツを無断で取得することで著作権侵害となるリスクがあります。著作権は、創作者の権利を保護するためのものであり、無断でのコピーや再利用は法律で禁止されています。このような行為が発覚した場合、著作権者から警告を受けるだけでなく、法的措置を取られることもあります。
対処法としては、取得するデータが著作権の対象となっているかどうかを事前に確認し、必要に応じて利用許諾を得ることが重要です。また、取得したデータの使用範囲を限定し、商業目的での利用を避けることでリスクを低減できます。
不正アクセス防止法違反のリスク
スクレイピングは、不正アクセス防止法に違反するリスクもあります。この法律は、無断で他人のコンピュータシステムにアクセスする行為を禁止しています。特に、ウェブサイトがアクセス制限を設けている場合、その制限を回避してデータを取得することは不正アクセスとみなされる可能性があります。
このリスクを回避するためには、対象サイトの利用規約を遵守し、アクセス制限を回避しないように注意することが重要です。また、データ取得の際は、公式に提供されているAPIを利用するなど、合法的な方法を選択することが推奨されます。
プライバシー侵害のリスク
スクレイピングにより、個人情報を含むデータを無断で取得することはプライバシー侵害となるリスクがあります。個人情報保護法は、個人のプライバシーを保護するためのものであり、無断での取得や利用は厳しく規制されています。
このようなリスクを避けるためには、取得するデータが個人情報を含まないように注意し、個人情報を扱う際には適切な手続きを踏むことが必要です。また、データの利用目的を明確にし、必要な範囲内でのみデータを収集・利用することが重要です。
法的リスクへの対処法
法的リスクを回避するためには、対象サイトの利用規約を熟読し、スクレイピングが許可されているかを確認することが不可欠です。多くのサイトでは、データの自動収集を禁止している場合が多いため、違反しないようにすることが第一の防御策となります。さらに、公式に提供されているAPIが存在する場合は、可能な限りそれを利用することで、法的リスクを大幅に軽減できます。
次に、スクレイピングの実行に際しては、倫理的な観点からも配慮が必要です。取得するデータが公開されているものであり、かつ商業的利用を避けることで、著作権やプライバシーの侵害リスクを最小限に抑えることができます。また、頻繁なアクセスを避け、サイトのサーバーに過度な負荷をかけないようにすることも重要です。
他のよくある質問
質問1:Seleniumでのスクレイピングはばれるの?バレたらどうなる?
答え:Seleniumを使用したウェブスクレイピングは、ウェブサイトの利用規約に違反しなければ法的には問題ありません。ただし、ウェブサイトの所有者がスクレイピングを検出した場合、アクセス制限や法的措置が取られる可能性があります。スクレイピングを行う際には慎重に行い、利用規約を遵守し合法的な目的で使用することが重要です。
質問2:スクレイピングすると、サイトのサーバーに負荷をかけるの?
答え:スクレイピングはウェブサイトのサーバーに負荷をかける可能性があります。大量のリクエストを短時間で送信すると、サーバーが過負荷になり、パフォーマンスが低下したり一時的にアクセスできなくなることがあります。適切なマナーを守り、リクエストの間隔を調整し、並列処理を制限するなどの対策が重要です。また、ウェブサイトの所有者がスクレイピングを検出し、アクセスを制限する可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
本記事ではWebスクレイピングを相手サーバーにバレないようにするための対策を5つ紹介しました。そもそもWebスクレイピングを使うこと自体は違反ではありません。
一方で、使い方によっては法的リスクを伴う可能性もあるため注意しましょう。今回ご紹介した方法を用いることで、完璧とはいえませんが、Webスクレイピングの利用をバレないようにすることが可能です。
特に、プロキシサービスも提供しているOctoparseでは、他のスクレイピングツールと異なり、すべてのユーザーがカスタマイズ可能なプロキシを追加できます。リーズナブルな価格で、自身の目的・用途にあわせて、独自のプロキシトラフィックの利用が可能になります。
プロキシの設定方法については以下の記事もあわせてご覧ください。