2020年に新型コロナウイルスの拡大が日本経済に大きなダメージを与えました。中でも深刻だった産業の一つが旅行業です。
観光局(JNTO)が発表したデータによると、2020年の訪日旅行者数は前年比較で87.1%マイナスとなりました。
2023年以降、徐々に規制も緩和されていますが、旅行業界には今もなお大きな傷跡が残っています。未知のウイルスが再び猛威をふるう可能性もある中、旅行業界は変革を求めています。
ビッグデータとデジタル化が急速に発展している今日において、多くの専門家が旅行業のDX化に関心を寄せています。
本記事では、DXの概念とメリットを明らかにした上で、国内の旅行業DX化のあり方について考えたいと思います。
旅行業のDX化に向けてベースになるのがデータ収集です。より多くのデータを収集すれば、企業競争力を高め、サービス改善につなげることができます。本記事の最後には、旅行業DX化の推進に役に立つサービスを紹介させていただきますので、あわせてご覧ください。
1.DXとは何か?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業や組織がデジタル技術を活用してビジネスプロセス、文化、顧客体験を変革する取り組みのことです。
これにより、業務効率の向上、新たなビジネスチャンスの創出、顧客満足度の向上が期待されます。具体的には、データ分析やAI技術を用いた顧客対応の最適化、クラウドサービスを活用した業務の効率化、IoTデバイスの導入によるリアルタイム情報共有などが挙げられます。
DXの成功を果たすためには、全社的な取り組みや経営層の強い意思が不可欠であり、企業が競争力を維持するためにはデジタル時代に適応することが求められます。
2.国内旅行業におけるDX化は?
新型コロナウイルスの影響によって人々の移動が制限され、旅行業は大きなダメージを受けました。その状況に対して、旅行会社や宿泊施設、観光施設では生き残りを懸けて、オンラインを活用したDX化へと大きく舵を切りました。
例えば、JTBをはじめとした旅行大手企業はVRやAR技術を活用した、「バーチャル旅行」などの新たな旅行形態を打ち出しました。
国内の旅行業におけるDX化の現状では、オンライン上でのサービス提供やデータ活用が進んでいます。具体的な取り組みとして以下のようなものがあります。
- オンライン予約・決済
- データ分析
- チャットボット・AI活用
- IoT・スマートデバイス
- バーチャル旅行
これらの取り組みを通じて、国内旅行業はDX化によるサービスの質向上や業務効率化を進めており、競争力を高めるための重要な要素となっています。それぞれの取り組みを詳しく解説します。
1. オンライン予約・決済
旅行会社や宿泊施設は、オンラインでの予約や決済システムを導入し、顧客の利便性向上を図っています。これまでは、じゃらんや楽天トラベルなどの大手旅行プラットフォームの活用が中心でしたが、近年ではSaaS型予約システムの導入も増えています。
また、ダイナミックパッケージングを活用し、個別に旅行プランをカスタマイズするサービスも増えています。
2.データ分析
顧客の属性や旅行履歴を分析し、旅行者に合ったプラン提案やキャンペーンを展開しています。これにより、顧客満足度の向上やリピート率の増加が期待されます。
3.チャットボット・AI活用
AI技術やチャットボットを活用し、顧客の問い合わせ対応や旅行プランの提案を効率化しています。これにより、スタッフの業務負担軽減や、より迅速な対応が可能になります。
4.IoT・スマートデバイス
スマートデバイスやIoT技術を活用し、旅行者の移動や宿泊先での体験をより便利にしています。例えば、スマートロックを用いた鍵の管理や、位置情報を活用した観光情報の提供などが行われています。
5.バーチャル旅行
VRやAR技術を用いて、実際に旅行に行かなくてもバーチャルな旅行体験ができるサービスが登場しています。これにより、新たな顧客層の獲得や旅行先の事前体験が可能になります。
3.旅行業のDX推進にデータ収集が欠かせない理由
旅行業のDX化を推進する上でデータ収集が欠かせません。具体的な理由としては、以下が挙げられます。
- 顧客理解の向上
- パーソナライズドなサービス提供
- 業務効率化
- 新規ビジネスの発見
- 効果的な施策の検証
それぞれ詳しく解説していきます。
顧客理解の向上
顧客の属性、旅行履歴、嗜好などのデータを収集・分析することで、より深い顧客理解が可能となります。これにより、ターゲットに合わせた効果的なマーケティングやサービス提供を実現します。
パーソナライズドなサービス提供
顧客のデータを活用して、個々のニーズに合わせたパーソナライズドなサービス提供を実現します。これにより、顧客満足度やリピート率の向上が期待できます。
業務効率化
データ収集・分析により、業務プロセスの改善や最適化を図ることができます。例えば、需要予測に基づくリソース管理や、AIを用いた問い合わせ対応など、効率的な業務運営が可能になります。
新規ビジネスチャンスの発見
データを活用することで、市場のトレンドやニーズの変化を把握しやすくなり、新たなビジネスチャンスを見つけ出すことができます。これにより、競合他社との競争力維持や事業拡大が期待できます。
効果的な施策の検証
収集したデータをもとに施策の効果を定量的に評価することができます。これにより、PDCAサイクルを回しやすくなり、経営判断のスピードや精度が向上します。
旅行業DXに役立つWebスクレイピングツールOctoparseとは?
旅行業のDX化を進める上で、データ活用は欠かせません。データ活用を行うには、効率的かつ大量のデータ収集方法の確立が必要不可欠です。そこで役立つのが「Webスクレイピングツール」です。
Webスクレイピングツールとは
手作業でのデータ収集は時間と労力がかかりますが、Webスクレイピングツールを利用することで大量の情報を短時間で収集できます。これにより業務効率が向上し、より多くのデータ活用が可能になります。
また、Webスクレイピングツールを使用することで、競合他社のウェブサイトから価格、プランの情報を収集したり、口コミサイトやSNSから顧客の声などを自動的に収集することができます。これにより、市場の動向や競合の戦略を把握し、自社のサービス改善や価格設定に活用することができます。
Webスクレイピングはpythonなどのプログラミングでも実現できますが、プログラミングの知識経験がない方にとってハードルが高いでしょう。しかし、Webスクレイピングツールはノーコード(コードを書かない)でWebスクレイピングタスクを構築できます。
Webスクレイピングツール Octoparseとは
数あるWebスクレイピングツールの中でも「Octoparse(オクトパス)」はプログラミング知識がない方でも、誰でもかんたんにデータ抽出が可能です。あらゆるWebサイトから、欲しいデータをすぐに抽出できます。
Octoparseは個人向けと法人向けのサービスがあります。個人向けでもWebスクレイピングに必要な機能を充分に備えていますので、まずは個人向けのサービスで使用感を試していただくのがおすすめです。
大規模なデータ抽出の場合は、企業向けのエンタープライズプランとWebデータ収集代行サービスも提供しているため、企業の状況に合わせて柔軟に運用できます。
お問い合わせ先:https://service.octoparse.com/ja-jp/data-service
Octoparseを使ったデータ収集方法を解説
Octoparseでは、数多くのWebサイトのデータ抽出テンプレートが用意されています。データを抽出したい対象サイトのテンプレートをチェックするだけで利用が可能です。ここでは、テンプレートの使い方について解説します。
ステップ1
お使いにOS(Windows、mac)に合わせてOctoparseの最新バージョンをダウンロードし、ログインします。
Windows版/macOS版:https://www.octoparse.jp/download
起動すると次のような画面が表示されます。
ステップ2
テンプレート選択画面でカテゴリー「旅行」をクリックし、その中から「宿泊施設リスト_Booking」を選択します。
ステップ3
テンプレートを選択すると、詳細画面が表示されます。概要を確認した後「今すぐ試す」をクリックします。
ステップ4
キーワード項目に、情報を収集したいエリアの地域名を入力します。例えば、ここでは銀座の情報を収集したいと思います。
入力したら「保存実行」をクリックします。
ステップ5
タスク実行方法を選択する画面になりますので、「ローカル抽出」か「クラウド抽出」のいずれかを選択します。データ量が少なければローカル抽出で問題ありません。クラウド抽出の場合はスピードが最大20倍にアップしますが、有料プランの契約が必要となります。
タスクを実行するとデータ抽出が開始されます。全てのデータが抽出されるまでに、数分程度掛かりますので、完了まで少し待ちましょう。
抽出したデータは、外部ファイルにエクスポートできます。エクスポート先はExcel、CSV、HTML、JSON、その他データベースのいずれかから選択可能ですので、活用方法に合わせて選択しましょう。
例えば、Excelにエクスポートした場合、グラフやピボットテーブルを作成するなど、データの見える化が可能です。Excelの便利な活用方法を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
参考:Excelでデータ分析を行う際に知っておくべき関数10選
まとめ
コロナ禍による規制もようやく緩和され、国内旅行業界では訪日外国人の増加が見込まれます。ただし、いつ新たなウイルスなどの影響で再び観光客の減少が起きるかは予測できません。また、コロナ禍により急速に進んだDX化の流れは、今後一層加速していくことでしょう。
DX化の第一歩は効率的かつ大量にデータを収集する仕組みを作ることです。その際に役立つのが、Webスクレイピングツールの活用です。Octoparseでは、旅行会社や観光施設のデータ活用に役立つ機能が多数備わっています。
プログラミングが不要なので、IT操作が苦手な方でも手軽に設定を行えます。まずは実際に触ってみて、Webスクレイピングを体感してみてください。
原作者:Shinz