世の中のデジタル化が進む中、DX化(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。DX化を進める上で、政府や自治体が特に力を入れているのが「DX人材の育成」です。
しかしDX人材と一言でいっても、具体的にどのような役割・業務を担うのかイメージが湧かないと感じる方も多いはずです。
本記事ではDX人材について、具体的な仕事内容や必要スキルのほか、DX人材になるための勉強方法にいたるまで詳しく紹介します。
DX人材とはどのような人材を指すのか、さらに求められる役割について理解を深めることで、自身がどのようにデジタル社会に貢献していくべきか、方向性が見えてくるでしょう。
DX人材を目指されている方や、デジタル社会において将来を模索中の方はぜひご覧ください。
1.DX人材とは?
DX人材とはどのような人材を指すかご存知でしょうか。もし「デジタルツールの活用が得意な人材」というイメージをお持ちだとしたら、それだけでは不十分です。
経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」では、DX推進のための人材整備について以下のように解説しています。
人材:DXの実行のために必要な人材の育成・確保に向けた取組が行われているか。
- DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材の育成・確保
- 各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材の育成・確保
引用:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(経済産業省)
つまりDX人材とは、デジタルに関する理解があり、デジタルを利用して主体的に変革をもたらすことができる人材のことといえるでしょう。
DX化を促進するためにDX人材は欠かせません。特に労働力減少が続く日本では、DX化を進めることが景気回復の鍵を握ります。政府や自治体ではあらゆる取組を通じて、DX人材としての育成・採用支援を手掛けています。
2.DX人材が求められる背景とは
なぜ政府や自治体ではDX人材の育成に力を入れているのでしょうか。その理由の一つとして挙げられるのが、経済産業省のDXレポート内で指摘された「2025年の崖」です。
2025年の崖とは、「DX化が進まず、既存システムが残存した場合には2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が発生する可能性がある」という試算のことです。
「2025年の崖」の到来を防ぐため、政府・自治体では企業に対し、オンラインシステムの導入をはじめさまざまな支援を行っています。
参照:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
3.DX化に求められる7つの職種とは
DX化を進める上で、DX人材の存在は欠かせません。しかしDX人材と一言でいっても職種は多岐に渡ります。ここでは、DX人材が担う7つの職種について詳しく解説します。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーはDX化やデジタルビジネスの実現を主導するリーダー的な役割を担う人材です。特にデジタル技術やシステム導入は、企業の経営変革に関わる重要事項であることが多いため、経営層が任命される場合も少なくありません。
自社の現状をしっかりと理解した上で、ビジネス戦略の立案、プロセスの構築、デジタルに関する豊富な知識のほか、社内の人間関係などを解決できる社内調整力などが求められます。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、DX化やデジタルビジネスの企画や立案、推進などを担う人材です。プロダクトマネージャーが策定した戦略を理解し、具体的なビジネスモデルやビジネスプロセスを提案します。
求められる要件としては、企画力、言語化能力、ファシリテーションスキルのほか、ステークホルダーとの利害関係の構築などが求められます。
テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
テックリードは、プロダクトマネージャーとビジネスデザイナーが提案したプランを具体的に自社のビジネスにデジタル技術を落とし込んでいく際に必要な人材です。
各エンジニアに仕事を振り分け、共通の目的の実現に向けて、作業が実行されるように現場を指揮します。課題の分析から設計や開発サポートまで幅広く行うこともあり、デジタル技術に加え経営的な視点も必要です。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、DXに関する技術(AI、IoTなど)やビッグデータ分析などに精通した人材です。統計解析やAI学習の扱いに慣れていることに加え、ビジネスモデルの中でAIの活用やビッグデータを扱うといった役割があります。
ビッグデータを正しく扱うためには、どのデータがどういうタイミングで発生し、頻度や精度はどうなのかなど、ビジネスに対する理解も求められます。
先端技術エンジニア
先端技術エンジニアは、AI(人工知能)、機械学習、ディープラーニング(深層学習)、ブロックチェーンなど最先端のデジタル技術を扱う人材です。テクノロジーは日々進化を遂げているため、最先端の技術や知識を保有した人材は必要になります。
UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスで使用されているシステムの操作画面(インターフェース)などのデザイン制作を担う人材のことです。ここでいうデザインとは、見た目だけでなく、操作性や使い心地も含まれます。
優れたユーザー体験は、顧客満足度にも直結します。顧客満足度の高さは、サービスの利用率や継続率にも影響を与えるため、結果としてデジタルビジネスの成功に貢献します
エンジニア/プログラマ
エンジニア/プログラマは、テックリードが作成した設計図に沿ってデジタルシステムの実装やインフラ環境を構築する人材です。
DXに関するビジネスの場合、生産や物流、店舗などの全般的なシステムを扱う必要があるため、ソフトウェアとハードウェアの両方に対応する広範囲な技術知識が必要とされます。
4.DX人材に必要なスキル・マインド
優れたDX人材になるためには、スキル(知識・能力)とマインド(姿勢)の両方が必要です。具体的にどのようなスキルやマインドが求められるか、それぞれに分けて解説します。
DX人材に必要なスキル
DX人材にはデジタルを活用するための豊富な知識・経験が求められます。ここでは5つのスキルを紹介します。どれも重要なスキルですが、すべてを網羅的に身につけることよりも、まずはどれか一つでプロフェッショナルレベルを目指すべきです。
ただし基礎知識程度は理解しておくことで、活躍の場が広がるでしょう。
スキル | 詳細 |
デジタルに関する基礎知識 | デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革には、システムやネットワークなどの基本的な仕組みなどの知識 |
先進技術に関する知識 | 基礎知識に加え、AIやIoT、クラウドのような先進的な技術やトレンドに関する知識 |
データサイエンス領域の知識 | 統計学や基礎数学、Python、Rなどのプログラミング言語を活用したデータ分析などの知識 |
プロジェクトマネジメントスキル | 納期や予算、人員の管理能力、外部とのコミュニケーション能力などプロジェクトを成功させるために必要なスキル |
システムやサービス設計に関する知識 | ユーザーにとって使いやすいシステムのデザインなどを判断できるスキル |
DX人材に求められるマインド
DX人材には、スキルだけでなくマインドセットが重要です。IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)では、DX人材になるために必要なマインドセットとして次のものを挙げています。
- 現状を変えたい思考
- 諦めない力/やりきる力
- 巻き込み力/調整力
- 言われたことだけでなく自ら前向きに取り組む
- 失敗を恐れず、固執せず、糧にできる力
- 変化を先読みし、他社より先にいく力
参照:デジタル・トランスフォーメーション推進人材の 機能と役割のあり方に関する調査
DX化に向けた取り組みは前例踏襲にとらわれることなく、時代に合わせて仕事の進め方を改革することになります。正解が見えない中で、チャレンジするということは大きな責任や重圧、ときには他者から反発にあうこともあるでしょう。
また、改革は一人ではなく必ず周囲の協力が必要です。まずは自らが一歩踏み出し、発信をしながら周囲への影響力を高めていくことが重要です。
5.DX人材になるには?一歩目のアクションとは
ここまでDX人材の仕事内容や求めるスキル・マインドを解説しましたが、実際にDX人材になるにはどのように進めたら良いでしょうか。ここでは、DX人材として活躍するための方法について解説します。
キャリアパス
キャリアパスとは、職歴(キャリア)と道筋(パス)を組み合わせた造語です。一般的には、企業内で社員が目指す役職や職務に就くために必要な業務経験や道筋のことを指します。
デジタルに関する知識・経験が不十分の状態ではIT企業への転職は敷居が高く、なかなかチャンスに恵まれないでしょう。そこで、現在勤めている会社内でDXプロジェクトの公募や異動希望制度があれば、積極的に活用することでリスクを抑えて経験を積むことが可能です。
キャリアパスを活用して、具体的にどのような経験を積むべきか3つ解説します。
デジタル戦略の経験を積む
デジタル技術を活用して、市場の動向や顧客のニーズ捉え企業経営に取り入れる戦略がデジタル戦略です。DX人材はデジタルツールの扱いに長けているだけではなく、デジタルを活用してDXの取り組みをリードすることが求められます。
実際に企業でDX戦略立案し推進まで手掛けた経験は活きてきます。そのため社内でDXプロジェクトメンバーの公募が行われた際などは、積極的に手を挙げると良いでしょう。
製品開発・サービス設計に関わる
デジタルを活用した製品開発やサービス設計に関わることも重要です。特にUIデザイナーやビジネスデザイナーを目指す場合には、ユーザーの使いやすさを考えたデザインの作成に携わることでUI/UXのスキルを磨くことができます。
そのほかにも、サービスの価格設定、生産、宣伝・マーケティング活動といった一連の工程に携わることで、設計・開発からエンドユーザーに届くまでの過程を肌身で理解できるでしょう。
デジタルテクノロジーに関する業務経験を積む
その他、IT業界未経験の方がDX人材を目指す場合は、ITエンジニアやプログラマーとして就職・転職が一般的なキャリアパスとなります。プログラミングスクールなどを受講すれば、非エンジニア人材でも週末や夜間の時間を使ってプログラミング学習が可能です。
特に先端テクノロジーとして位置づけられている、ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド、センサー・セキュリティなどは、今後伸びていく分野として注目されているため、早い内に経験を積むことで、他者よりも先に経験を積むことが可能です。
自己投資
DX人材になるためには転職・異動だけではありません。本業を抱えながらでも、DX人材としての知識・経験を高めることが可能です。
どのようなDX人材を目指すにしても、まずは一歩踏み出すことが重要です。その一歩目としておすすめの自己投資をいくつか紹介します。
書籍/セミナーでのインプット
DX人材への道として最初に取り掛かるべきことは、書籍やセミナーでの知識のインプットです。最近では、YouTubeでも良質な学習コンテンツが多くあります。より専門的な知識を学習したい場合には、Udemyや大学公開講座もおすすめです。
Udemy
【デジタルトランスフォーメーション】事例と理論で学ぶ、DXの基礎知識&戦略論
Udemy(ユーデミー)はオンラインでその道のプロフェッショナルの講座を受講できるオンライン学習プラットフォームです。DXに関する講座も数多く公開されており、DXが求められる背景、経営戦略、事業戦略、マーケティングやセールスのデジタル化、採用戦略などの基礎的な知識が身につきます。
・JMOOC
JMOOC(ジェイムーク)は、オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる教育サービスです。
JMOOCで公開されている、DX人材育成の講座の1つに「AI活用人材育成講座」があります。AIの概要把握から、AI活用のためのアウトライン、AI導入に必要なベースとなる知識を段階的に深めていける構成となっています。
・書籍
イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術で爆発的に成長する産業、破壊される産業
DXというキーワードが注目される中、書店にいけばDXにまつわる書籍が数多く登場しています。本著は、経済産業省がガイドラインを出すほど、国も危機感を抱いているのか、DX化につまずく企業が多いのはなぜかなど多くの疑問を解決してくれる本です。
テクノロジー関連スキルの習得
コロナ禍でオンラインビデオツールのZoomが世界中でユーザーを増やしたように、現在様々なオンラインツールが登場しています。
特に「フリーミアム」と呼ばれる基本的なサービスを無料で提供しているサービスも多く登場しています。そうしたサービスは先端デジタル技術が搭載されていることが多いため、実際に触れて体験することがおすすめです。
たとえば、WebスクレイピングツールのOctoparse(オクトパス)もWebスクレイピングを体感できるフリーミアムサービスです。Webスクレイピングとは、Web上に公開されている情報から特定の情報を自動で抽出する先端技術です。
Octoparseはプログラミング知識・経験は一切不要で、ノーコードで操作が可能です。ITスキルに自信がない人でも先端テクノロジーを体験できるので非常におすすめです。OctoparseのWebスクレイピングサービス
副業でのスモールスタート
インプットした知識・体験は、実際に行動しアウトプットすることではじめて自分の中でスキルとして身につきます。実践的なアウトプット方法としては副業がおすすめです。自身が持つ知識・経験を活かして報酬を得ることで、DX人材に近づいていることが実感できるでしょう。
特に副業で先端テクノロジーを扱った経験があると、IT業界への転職する際にもプラスに働く可能性が大いにあります。たとえばOctoparseでは、データスクレイピングを使ったリスト作成業務で副業をしている人もいます。
Octoparseを活用した副業事例について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
6.DX人材になるための具体的な勉強方法はあるの?
DX人材になるための具体的な勉強方法は以下の6つのようになります。
1.オンラインコースや勉強プラットフォームの利用
UdemyやCourseraなどのオンラインコースや勉強プラットフォームを活用しましょう。DXに関連するトピックやスキルに特化したコースを選ぶことで、体系的な知識を獲得することができます。
2.プロジェクトを通じた学習
プログラミングやデータ分析のスキルを実践的に身につけるために、個人プロジェクトやオープンソースプロジェクトに参加しましょう。実際の問題に取り組むことで、学んだ知識を実践的に活用することができます。
3.コミュニティ参加
DXや関連するテクノロジーについてのコミュニティやイベントに参加しましょう。他の専門家や実践者との交流を通じて、知識や経験を共有し、新たなアイデアを得ることができます。
4.実践的な経験を積む
インターンシップやアルバイト、フリーランスの仕事など、実際のプロジェクトに関わる機会を探しましょう。実務経験を通じて、実際の課題に対する解決策を見つける力やチームでの協働能力を身につけることができます。
5.ブログやポートフォリオの作成
自身の学習やプロジェクトの成果をまとめたブログやポートフォリオを作成しましょう。これによって、自身のスキルや経験をアピールすることができます。また、ブログの執筆や情報発信を通じて、自身の知識を深めることもできます。
6.定期的な自己勉強と情報収集
DXは進化が速い分野ですので、定期的な自己勉強と最新の情報収集が必要です。テクノロジーのトレンドや新たなツール・フレームワークについて常にアップデートし、学び続けることが重要です。
情報収集能力を身に着けるには、OctoparseというWebスクレイピングツールはオススメです。いろんな分野から簡単な操作でウェブ上のデータを収集することができ、公式サイトに詳しいガイドもありますので、初心者にとっても使いやすいです。
これらの方法を組み合わせながら、着実にスキルを身につけることが大切です。継続的な努力と実践を通じて、DX人材としての能力を高めていきましょう。
まとめ|DX人材を目指して今日から一歩踏み出してみよう
本記事では、DX人材の7つの職種や、DX人材になるために必要なスキル・マインド、学習・勉強方法まで解説しました。多くの企業・自治体でDX化が推進される中で、時代の変化に取り残されないためにも、本記事を読んだ今日からDX人材に向けて一歩踏み出してみてください。
数あるデジタルツールの中でも、WebスクレイピングツールのOctoparseは、ITスキルに自信がない方でも手軽に先端テクノロジーを体験することができます。今まで手作業でデータ収集していた人は、デジタルの力に驚くはずです。Octoparseは無料から使えるのでぜひWebスクレイピングの世界を体験してみてください。