コロナ禍以降、オンラインのニーズは拡大を続けており、ECへの取り組みを本格化させている会社が多いでしょう。EC事業者として自社の商品に競争力を持たせるため、ECサイトでのデータを収集・分析する能力は欠けてはいけません。データに基づいて、消費者のインサイトの解明とマーケティングの調整をすることが可能にします。
本記事ではEC事業者にとって、Web上のどのようなデータが必要なのか、またはWebスクレイピングがどのように役立つのかを説明します。
ECビジネスの成長に役立つデータは何?
Eコマースにとって、Web上で商品に関するデータを収集し分析することによって、自社が今後進むべき方向性(基本戦略)を策定できます。
1)競合他社のデータ
競合他社は、直接的な競合他社と間接的な競合他社という二つの種類に分けています。直接的な競合他社とは自社と同じものを提供している企業です。間接的な競合他社とは製品やサービスは自社とは異なるが、顧客の同じニーズを満たす可能性のある企業です。
競合他社のデータを分析すると、市場競争で自社の位置を理解でき、市場のギャップを見つけられ、そして、よりよいマーケティング戦略を制定し、お客様にアプローチできます。
2)SEOデータ
Eコマースは、より多くの顧客を獲得することは、Webサイトのトラフィック数(アクセス量)に大きく依存します。自社の商品は検索結果の上位に表示できないと、自社の商品がお客様に購入される可能性も低くなります。
自社のWebサイトや商品が検索結果の上位に表示されたいならば、SEOを最適化しなければなりません。検索結果のランキングを影響する要因は多いです。その中でバックリンクとキーワードの使用が最も重要な要因です。多くの企業が、Googleでのランキングを上げるために、Webスクレイピングを利用しています。
Webサイトのタイトル、メタキーワード、メタディスクリプションはGoogle検索結果ランキングに大きく影響を与えます。これもWebサイトを顧客に紹介する文です。だから、検索結果上位の競合他社のWebサイトのメタ情報を抽出することはSEO対策の第一歩です。
3)価格データ
競合他社の商品価格設定も重要なデータです。競合他社の商品はどのような価格設定があるのかを明らかにするために、Webスクレイピングで価格データを抽出することが必要です。データ収集を通じて、競合他社の価格をモニタニングすると同時に、市場上の価格設定の全体像を把握することもできます。
競合他社の価格をモニタニングすることで、自社の市場戦略に役立つ情報を得ることができます。例えば、競合他社はどのように商品を販売していますか?単一の製品を販売、それともセットとして販売していますか?もし、その両方が販売している場合は、顧客はどちらを多く購入しますか?競合他社は顧客に割引を提供していますか、などのことです。これらのデータを入手すれば、より良いマーケティング戦略を立てることができます。
4)レビュー
Web上の顧客のレビューから、自社のサービスの改善すべきなことを知ることができます。Amazonや楽天のようなWebサイト上のレビューは、顧客が商品やサービスについてどう感じているかについて、直接的な情報を提供してくれます。
人々は製品を購入する前に、Web上でこの製品のレビューをチェックする傾向があります。ある商品を販売している場合、Web上で同じ商品を販売している他のEC出品者から、この商品に対して、消費者たちはどのような態度や評価があるのか、を全体的に把握することができます。また、自分の商品と同じカテゴリーでの他の商品のランキングを見れば、市場でどのようなものが売ってるのか、という市場情報を知ることができます。
データをどのように取得するのか
ECビジネスを成長するために、データ収集では以下のようにいくつかの方法があります。
1) データの購入
競合他社のデータや価格などデータは、オンラインで購入できます。データ提供者やデータサービス会社にニーズを相談することもできます。
データを購入する上で注意するべき点は、データが頻繁に更新しているため、何度も購入する必要があり、「費用対効果」の計算が大切です。また、購入先によっては利用する条件などによって購入が制限される場合があります。
2) Webスクレイピングツール
データ収集には、スクレイピングを活用する方法ももう一つです。
スクレイピング(Scraping)とは、直訳で「かき集める」の意味を持つ単語ですが、データ分析の領域では「膨大なデータから特定の情報を抽出し収集する」意味になります。
スクレイピングはPythonなどを使用したプログラミングによってシステムを開発する方法があり、スクレイピング専用の自社システムを開発している企業も少なくありません。
また、Octoparseのようにデータ収集・分析に特化したシステムやサービスを利用するとプログラミングなしでスクレイピングができます。
Octoparseを利用してメルカリのデータを収集する
メルカリのデータ分析が重要な理由は、メルカリのECサイトモデルにあります。
メルカリを含むフリマサイトは店舗が商品を出品するネットショップとは違い、「C to C 」のモデルが採用されたECサイトです。ネットショップのような「B to C EC(Business to Customer EC)」では、販売店が価格を決めるのに対し、メルカリのような「C to C EC」は個人間でモノの値段を決められます。
これらから言えるのは、メルカリで購入者がモノを購入する際「同じものでも価格が安いものを選ぶ」という1つのプラットフォーム内にて同一の出品物間の価格競争が起こることです。メルカリの商品分析や出品者の分析を行うと、競合の出品物やどの価格が売れているのかを把握できます。
Octoparseを利用してメルカリのデータ収集を行うにはいくつかの手順を踏む必要があります。
今回は次の2ステップで解説していきます。
- メルカリのテンプレートを探す
- データ抽出を実行する
ステップに沿って見ていきましょう。
①.Octoparseが立ち上がったら、メルカリのテンプレートを探します。「もっと見る」を選択し、カテゴリー欄の「eコマース」をクリックしましょう。
②.「Mercari」のテンプレートがあるので、選択すると「Mercari Product data detail」があるので詳細を確認します。
③.「今すぐ使う」ボタンをクリックした後、メルカリ上で条件を絞り込んだ取得先のURLを「Enter Detail Pages URL(s)」に入力します。
④.「保存して実行する」→「ローカル抽出」を選択します。実行すると、ウィンドウが新しく立ち上がり、タスク概要やデータ詳細(品名、出品者、値段、詳細ページURLなど)を確認できます。実際に収集したデータをExcelファイルやCSVファイルでエクスポートも可能です。
Octoparseでは定期にデータを抽出機能を備えています。ECサイトはランキング、競合商品の価格、在庫、レビューなどのデータはいつも変わっています。その場合はスケジューリングで定期にデータを抽出することができます。スケジューリングの設定については、以下のチュートリアルリンクをご参照ください。
OctoparseのECテンプレート
メルカリでOctoparseを利用しましたが、プログラミング知識を持っていない方にも手軽にデータを取得するために、ソフトウェアの中で様々な分野のテンプレートを用意しています。これらのテンプレートを使って、データを抽出したいURLや商品のキーワードを入力するだけで、簡単にデータを抽出することができます。
まとめ
今回は、データ収集の重要性、またOctoparseを利用したメルカリのデータ抽出について解説してきました。
データ活用はEC企業に対するメリットは、いくら強調してもし過ぎることはありません。トレンドの商品や、同じ商品の価格帯を分析して価格高騰・下落を把握し、出品する商品の価格決定に大きく貢献できるのです。
また、データ分析が重要な理由の一つとして「トレンドのブランド・カテゴリーの理解が売り上げにつながる点」が挙げられます。同じブランドの商品でも、トレンドのカテゴリーを把握しそれに結び付けていくとユーザーのセッション率が上がります。
出品目的だけではなくどのような人がサイトを使用しているのか、どんな商品が出品されやすいのかの分析を行うと自社商品の開発・販売に結びつけられます。
データ分析の目的を明確にすると、同じデータ分析でも多くのメリットを生み出すことができるわけです。
ぜひOctoparseの導入を検討してみてはいかがでしょうか。