現在、多くの企業がマーケティング活動においてSNSを活用しています。その中でも特に注目を集めているのが、中国の人気SNSである「小紅書(rednote)」です。
小紅書は「中国版Instagram」とも言われ、画像や動画を中心とした投稿に加え、EC機能や詳細なレビューが統合されているのが特徴です。日本でも、その利用可能性に興味を持つ企業が増えており、小紅書を効果的に活用する方法や最新トレンドを把握するニーズが高まっています。
本コラムでは、小紅書(rednote)の基本から、注目を集める理由、投稿情報を自動収集する方法まで詳しく解説します。小紅書(rednote)を活用したマーケティングを検討している方はぜひ参考にしてください。
小紅書(Red)とは?
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小紅書(Xiaohongshu:シャオホンシュー)は、中国の口コミ型SNSです。月間アクティブユーザー数が2.6億人を超えるなど高い人気を誇ります。
しかし、日本ではまだ馴染みが薄く、どういったSNSなのか知らない方も多いでしょう。ここでは、小紅書の特徴や近年注目を集める理由を解説します。
小紅書(rednote)の特徴
小紅書(rednote)は、中国で大きな影響力を持つSNSです。写真や動画を使った視覚的な投稿スタイルやデザインがInstagramに似ていることから、「中国版Instagram」とも呼ばれています。
さらに、小紅書の大きな特徴の一つが、EC機能が備わっている点です。たとえば、ユーザーは気になる商品のレビューを確認した後、アプリ内でそのまま購入まで行うことができます。これにより、情報収集から購買までの流れがスムーズに完結する利便性が実現されています。
小紅書(rednote)が注目される理由
2013年に登場した小紅書は、ユーザーの実体験に基づくリアルな口コミと、EC機能と連動して情報収集から購入までを一つのアプリ内で完結できる利便性により、中国を代表するSNSに成長しました。
特に、消費意欲の高い都市部の女性層からは、最新トレンドを把握するための情報源としての役割も果たしています。
他のSNSとの違い
日本で人気のSNSといえば、InstagramやTikTokなどが挙げられますが、その利用目的は主に日常生活の共有、エンタメ、情報共有といった目的で利用されることが多いです。それらのSNSと小紅書の大きな違いは、シームレスな購買体験の創出にあります。
たとえばInstagramでも商品紹介はできますが、商品を購入するには概要欄などに外部リンクを記載する必要があります。しかし、小紅書では投稿から直接購入画面に遷移させられるため、情報共有と購買がシームレスに繋がっています。
また、小紅書は商品の口コミやレビューを中心とした投稿が多く、ユーザーの購買行動に特化した設計がされている点が、他のSNSと一線を画しています。
小紅書(Red)ユーザーの年齢層や利用ニーズ
小紅書(rednote)のメインユーザー層は、20代~30代女性、一線・二線都市(※1)出身の消費力の高い方となっています。一方、近年では男性ユーザーの割合も上昇しており、3割ほどとなっています。
いずれにしても、美容やファッション、飲食、旅行先など日常生活に関連する情報を求める消費意欲の高い層が特徴です。このようなユーザー層は、商品の購入やサービス利用前に口コミをチェックする文化が根付いており、ユーザーは信頼性の高い情報源として小紅書を利用しています。
口コミを通じて購入の意思決定が行われるケースが多いことから、小紅書はEC機能を実装し、「口コミ型ECアプリ」として進化しました。
※1:上海市、北京市、広州市(広東省)、深セン市(広東省)
日本や海外での小紅書(Red )利用状況
小紅書は、日本人ユーザーの間でも徐々に利用が拡大しています。特に、中国文化やトレンドに関心を持つ若年層が利用しています。また、日本企業や観光地がインバウンド(訪日観光客)対策として小紅書を活用するケースも増えており、中国圏に向けた情報発信の場として注目されています。
さらに近年では、中国圏だけではなくアメリカでも小紅書の注目度が急上昇しています。その背景としては、アメリカでのTikTok禁止の動きが進んでいることが挙げられます。TikTok禁止に対し、反発を唱えるアメリカ人ユーザーが小紅書に流入しているとされています。
実際、小紅書(rednote)アプリは、2025年1月時点でアメリカのApp Storeで最もダウンロードされており、TikTok難民をはじめとした新しいユーザーが活発に利用を開始しています。
一方、現時点で小紅書は中国語にしか対応していません。日本語や英語にローカライズされていないため、中国語が読めないユーザーは翻訳アプリを活用しながら利用している状況です。今後、小紅書に英語版や日本語版が登場すれば、さらに世界中で利用される可能性が高まるでしょう。
小紅書(Red)のトレンド分析のやり方
小紅書(rednote)は、口コミ型の情報収集と消費行動が密接に関連しているプラットフォームです。そのため、トレンド分析を行うことで、消費者のニーズや興味の方向性を的確に把握することが可能です。特に、人気ハッシュタグを基にしたトレンドの把握や、専用ツールを使用した投稿データの収集は、マーケティング戦略の精度を高める上で有効な手法です。
人気ハッシュタグから読み取る最新トレンド
小紅書でのトレンド分析において、人気ハッシュタグの観察は重要なステップです。ハッシュタグを追跡することで、特定の製品やサービスに関する消費者の関心の度合いを確認できます。
たとえば、美容カテゴリでは、季節ごとの「スキンケア」や「メイクアップ」のトレンドがハッシュタグを通じて浮き彫りになります。旅行カテゴリでは、特定の観光地や宿泊施設が話題になることが多く、訪問者のレビューを集めることも可能です。
特に、中国国内外のトレンドが融合する場として、小紅書は消費者だけでなくブランドにもインサイトを提供するプラットフォームとなっています。これにより、新しい商品の開発やキャンペーンの設計に役立てることができます。
https://www.octoparse.jp/template/xiaohongshu-post-listings-scraper
Octoparseを使ったトレンドデータの収集方法
Octoparseを活用することで、プログラミングを行わずに小紅書からデータを自動抽出できます。ここでは、Octoparseを使った小紅書のスクレイピング方法を解説します。
手順1.Octoparseのインストール
Octoparseの利用が初めての方は、最新バージョンを公式サイトからダウンロードしましょう。Octoparseは無料で利用できます。ダウンロードが完了したら、ログインします。
手順2.小紅書のデータ収集テンプレートを検索
Octoparseのトップページにある、検索窓に「小紅書」と入力します。すると、「小紅書」関連のテンプレートが表示されます。今回は、「小紅書(rednote)ハッシュタグページ投稿リスト」を選択しましょう。
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手順3.パラメータの設定
テンプレートを開いたら、「パラメータ入力」タブを選択します。URLを入力するボックスがあるので、データを収集したい小紅書のハッシュタグページURLを入力します。
次に、「Pre-Login(自動ログインの設定)」から、小紅書にログインし、クッキーを有効にします。「状態確認」という表示が出たら準備完了です。最後に「実行」ボタンを押しましょう。
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手順4.タスクの実行
「ローカル収集」または「クラウド収集」を選び、タスクを開始します。データ量に応じて数分から数時間で収集が完了します。
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手順5.データのエクスポート
収集したデータはExcel、CSV、JSONなど、さまざまな形式でエクスポート可能です。これを元に、トレンド分析やレポート作成を行います。
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小紅書(Red)におけるすスクレイピングの注意事項
小紅書(rednote)でスクレイピングを用いることで、トレンド分析をはじめマーケティング活動に大きく役立つでしょう。一方、スクレイピング自体に違法性はないものの、データ収集の際はいくつかの注意点があります。
利用規約を確認する
ウェブサイトの利用規約では、スクレイピングでのデータ収集を禁止しているケースも少なくありません。スクレイピング自体に違法性はないものの、利用規約に抵触した場合は、アカウント停止のリスクもあるため注意しましょう。
サーバーに負担を掛けない
スクレイピングは短時間で大量のアクセスを繰り返すため、サイトのサーバーに過度な負担が掛かります。その結果、サーバーがダウンして一時的に利用ができなくなる可能性があります。それにより、ウェブサイト運営者側から損害賠償を求められるリスクもあります。
スクレイピングを行う際は、アクセス頻度を適切に設定し、サーバーに負担をかけないようにしましょう。Octoparseでは、アクセス頻度の調整もかんたんに行うことができます。
取得データの利用範囲に注意する
スクレイピングで収集したデータは、商用利用をしないように注意しましょう。取得したデータを元に分析をしたり、マーケティング戦略に活かすこと自体は大きな問題ではありません。
一方、取得データを再配布や転売したり、そのデータを使って自社のサイトに利用する(例:小紅書で取得した口コミ情報を、自社のサイトに転載する)ことは著作権違反に該当しますので注意しましょう。
まとめ
小紅書(rednote)は、中国圏を中心に2.6億人以上が利用する巨大SNSです。すでに、消費者行動に大きな影響を与えており、中国でビジネスを展開する場合において小紅書の活用は欠かせないものとなっています。
また、近年ではアメリカや日本でも徐々に利用者が増えています。まだ触れたことがないという方は、早速登録してみてください。