「最近よく耳にする小紅書(Red)とは何?」「小紅書(Red)の投稿内容を簡単に集める方法を知りたい。」そのようなお悩みをお持ちではありませんか。
小紅書(Red)は、2013年に登場した中国発のSNSです。月間2.6億人以上が利用しており、中国圏で最も有名なSNSといっても過言ではありません。特に、EC機能が備わっていることから、多くの企業が小紅書を使ったマーケティング活動に注力しています。
本コラムでは、小紅書(Red)の基本から、投稿内容を自動収集するスクレイピングの活用方法まで詳しく解説します。
SNSアプリ小紅書(Red)とは?
小紅書(Xiaohongshu:シャオホンシュー)は、中国発のSNSアプリで、月間2.6億人以上のユーザーが利用しています。写真や動画の共有や、レビューを投稿できることから、「中国版Instagram」とも呼ばれています。ここでは、小紅書の特徴や近年注目を集めている理由を解説します。
SNSアプリ小紅書(rednote)の特徴
小紅書の特徴は次のとおりです。
多彩なコンテンツ
小紅書では、美容、ファッションから、飲食、旅行にいたるまで日常生活に関連した投稿が豊富です。写真や動画、ライブ配信を活用した投稿が可能で、ユーザーはそれに対して、コメントをしたり「いいね」を付けたりして、相互のコミュニケーションを図ることができます。
EC機能による購買体験の促進
小紅書は、SNSとしての機能に加え、EC機能が備わっています。例えば、ファッション関連のコンテンツを見たユーザーは、投稿内容から気に入った商品をシームレスに購入することができます。
なぜ今、企業が小紅書(rednote)を注目しているのか
小紅書(rednote)は、近年アメリカをはじめ、世界中で人気が急上昇しています。そうした中、企業も新たなマーケティング施策として注目を集めています。
特に、小紅書のアルゴリズムはフォロワー数に依存せず、ユーザーの興味や関心に基づいてコンテンツを表示する仕様となっています。そのため、オリジナルな投稿が目立ちやすく、企業やブランドも自然な形で消費者と繋がることができます。
また、アメリカでは、TikTokの規制強化が進んでおり、それに反発したユーザー(TikTok難民)が小紅書に移行しています。実際、2025年1月にはアメリカAppStoreでダウンロード数がトップになりました。
また、日本でもインバウンド(海外訪日客)需要により、中国圏に向けたマーケティング活動の一貫として、小紅書を活用している企業が増えています。このような背景から、小紅書は中国市場向けのSNSにとどまらず、企業のグローバルなマーケティングの重要な一翼を担う存在となりつつあります。
小紅書(Red)におけるユーザー行動の特徴
小紅書(rednote)は他のSNSと比べて、ユーザー行動にいくつかの特徴がみられます。ここでは、主な特徴を見ていきましょう。
消費意欲の高い女性ユーザーが中心
小紅書(rednote)のメインユーザー層は、20代~30代女性、一線・二線都市(※1)出身の消費力の高い方となっています。この層は、美容やファッション、飲食、旅行先など日常生活に関連する情報を求めています。
一方、近年では男性ユーザーの割合も上昇しており、3割ほどとなっています。今後、さらに利用者数が増えるにしたがって、男性ユーザー向けのコンテンツも増えていくでしょう。
※1:上海市、北京市、広州市(広東省)、深セン市(広東省)
商品購入前に口コミを重視している
中国では、他者のレビューや体験談といった口コミを重視する傾向があります。特に、ECサイトで商品を購入する前に必ずと言っていいほどレビューや体験談をチェックします。
小紅書はその文化を反映したことで、人気SNSとなりました。その結果、小紅書は単に写真や動画の投稿を楽しむためのツールではなく、商品やサービスの購入における意思決定をサポートする役割を担っています。
気に入ったものはすぐに購買する
小紅書では、コンテンツの閲覧から購買までシームレスに繋がっています。例えば、ユーザーは気になる商品のレビューや使い方を投稿で確認したら、そのままアプリ内で購入を完了することができます。
「自身が納得したものや気に入ったものはすぐに購買する」といった購買意欲が高いユーザーにとって、小紅書は最適な購買体験を促すツールとなっています。
小紅書(Red)の登録方法と利用方法
小紅書(rednote)は、中国市場で人気の高いSNSですが、現時点で日本版が存在しないため、利用方法がわからない方も多いでしょう。ここでは、アカウント登録から利用開始までの手順を解説します。
1. アプリのダウンロード
まず、スマートフォンのアプリストアで「小紅書」または「rednote」と検索し、アプリをダウンロードしてください。
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2. アカウントの作成
アプリを起動し、登録画面に移動します。
登録方法を選択します。WeChatや電話番号、Apple IDなどが利用可能です。電話番号を選択する場合、国番号(日本は+81)を選択し、自分の番号を入力します。
入力した電話番号宛てに認証コードが送られてくるので、それをアプリに入力して登録を完了させます。
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3. プロフィールの設定
登録後、アカウントのプロフィールを設定します。ユーザー名やプロフィール写真、自己紹介文を入力しましょう。興味のあるカテゴリを選択すると、関連コンテンツが表示されやすくなります。
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小紅書(Red)の企業の活用例
小紅書(Red)は、単なるSNSにとどまらずEC機能を併せ持つことから、企業のマーケティング活動を支える手法として注目が高まっています。ここでは、企業の活用例をご紹介します。
KOL(Key Opinion Leader)の活用
小紅書では、KOL(Key Opinion Leader)を活用したマーケティング活動が行われています。KOLとは、特定の分野で影響力をもつ人物を指します。インフルエンサーと似ていますが、KOLはより専門的な知識や技術を持つことが特徴です。
KOLを通じて商品の紹介や使用感をリアルに伝える投稿を行うことで、ブランドの認知度を効果的に向上させることができます。特に美容やファッション関連では、KOLが商品の使用方法やレビューを投稿し、それが購買行動に直結するケースが多く見られています。
ライブコマースを活用した販売促進
小紅書では、ライブ配信機能が備わっています。KOLや企業はリアルタイムで商品を紹介できるほか、視聴者は気になったことをその場で質問をすることができます。
また、限定オファーやライブ配信中の特典を提供することで、視聴者の購買意欲をさらに引き出すことが可能です。
ユーザー参加型キャンペーンの実施
企業は、小紅書上でハッシュタグキャンペーンや投稿コンテストを実施することができます。ユーザーが自身の投稿を通じて商品を紹介することで、自然な形で口コミが広がり、信頼性の高い情報源として活用されます。
例えば、「#私のお気に入りコスメ」のようなテーマでキャンペーンを行い、投稿者の中から選ばれたユーザーに特典を提供する形が効果的です。
EC機能によるシームレスな購買体験
小紅書にはEC機能が組み込まれており、企業は公式アカウントや商品ページを通じて直接販売を行うことができます。
商品のレビューや関連投稿が購入ボタンと一体化しているため、消費者はシームレスな購買体験を楽しむことができ、売上拡大につなげることが可能です。
【実践編】 Octoparseによる投稿データの取得方法
小紅書(Red)は、月間2.6億人以上が利用しているため、コンテンツ投稿やレビューといったデータが大量に蓄積されています。企業のマーケティング担当者は、そのデータを収集し分析することで、ニーズにあった製品開発やプロモーション活動に活かすことが可能です。
一方、効率的なデータ収集には「スクレイピング」という技術が用いられますが、プログラミングの知見がない方にとっては扱いが難しい技術です。しかし、スクレイピングツール「Octoparse」を使うことで、誰でもかんたんにデータ収集が可能になります。ここでは、Octoparseを使った小紅書の投稿データ取得方法を手順に沿って解説します。
https://www.octoparse.jp/template/rednote-post-details-scraper
ステップ1. Octoparseの準備とダウンロード
まず、Octoparseの公式サイトからソフトウェアをダウンロードします。お使いのOS(WindowsまたはMac)に対応したバージョンを選択し、インストールを完了させてログインします。無料プランでも基本的な機能を利用可能です。
ステップ2. 小紅書(Red)の投稿詳細テンプレートを選択
Octoparseには、数百種類ものテンプレートが用意されています。小紅書のテンプレートを利用することで、わずかな操作だけで簡単にデータを抽出できます。
- ユーザープロフィールからデータを取得:フォロワー数、投稿数、プロフィール情報など
- 投稿内容のスクレイピング:投稿本文、ハッシュタグ、いいね数、コメント数
- 検索結果からデータを抽出:特定のキーワードやトピックに関連する投稿
テンプレートはOctoparseの検索バーで「小紅書」や「rednote」と入力することで、関連する設定を見つけられます。ここでは、「小紅書(RED)投稿詳細」のテンプレートを選択しましょう。
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ステップ3. ログイン情報の入力
テンプレートを開いたら、「パラメータ入力」タブを選択します。URLを入力するボックスがあるので、データを収集したい小紅書のハッシュタグページURLを入力します。
次に、「Pre-Login(自動ログインの設定)」から、小紅書にログインし、クッキーを有効にします。Octoparse内でログイン操作を設定し、クッキーを取得することで、データ収集をスムーズに進めることができます。
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ステップ4. データ抽出の実行
タスク設定を完了したら、データ収集を開始します。以下の方法から選択可能です。
- ローカル抽出:パソコン上で処理を行う(無料プラン向け)
- クラウド抽出:サーバーを使用して高速処理(有料プラン推奨)
抽出が完了すると、数千件の投稿データが短時間で収集されます。
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ステップ5. データのエクスポートと分析
収集したデータはExcel、CSV、JSONなど、さまざまな形式でエクスポート可能です。これを元に、トレンド分析やレポート作成を行います。
エクスポートしたデータを活用し、ターゲットユーザーの行動分析や市場トレンドの把握に役立てましょう。
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小紅書(Red)をスクレイピングする際の注意点
小紅書(Red)でスクレイピングを用いることで、トレンド分析をはじめマーケティング活動に大きく役立つでしょう。一方、スクレイピング自体に違法性はないものの、データ収集の際はいくつかの注意点があります。
利用規約を確認する
ウェブサイトの利用規約では、スクレイピングでのデータ収集を禁止しているケースも少なくありません。スクレイピング自体に違法性はないものの、利用規約に抵触した場合は、アカウント停止のリスクもあるため注意しましょう。
サーバーに負担を掛けない
スクレイピングは短時間で大量のアクセスを繰り返すため、サイトのサーバーに過度な負担が掛かります。その結果、サーバーがダウンして一時的に利用ができなくなる可能性があります。それにより、ウェブサイト運営者側から損害賠償を求められるリスクもあります。
スクレイピングを行う際は、アクセス頻度を適切に設定し、サーバーに負担をかけないようにしましょう。Octoparseでは、アクセス頻度の調整もかんたんに行うことができます。
取得データの利用範囲に注意する
スクレイピングで収集したデータは、商用利用をしないように注意しましょう。取得したデータを元に分析をしたり、マーケティング戦略に活かすこと自体は大きな問題ではありません。
一方、取得データを再配布や転売したり、そのデータを使って自社のサイトに利用する(例:小紅書で取得した口コミ情報を、自社のサイトに転載する)ことは著作権違反に該当しますので注意しましょう。
まとめ
本記事では、小紅書の特徴や企業の活用例、さらにデータを効率的に取得するためのOctoparseの活用方法について解説しました。小紅書(Red)は、口コミやレビューを中心にユーザーの購買行動に影響を与える中国発のSNS型ECプラットフォームです。
小紅書のデータ収集はマーケティング活動の重要な一歩ですが、利用規約や法規制を守り、適切に行うことが求められます。小紅書を活用して、より効果的なマーケティング戦略を展開し、ビジネスの成長につなげましょう。