今や世界中で活用されるSNSですが、中でもYouTubeは月間のアクティブユーザーが世界で20億人を超えるといわれています。日本でも月間アクティブユーザー(MAU)は6,500万人を越えており、2人に1人が使っている計算です。
YouTubeには、「コメント機能」が備わっており、視聴者は動画に対してコメントを投稿することができます。それらのコメントを分析することで、ユーザーがどのような感情を抱いているかを分析することが可能です。
そこで本記事ではWebスクレイピングツール「Octoparse(オクトパス)」を活用した、YouTubeのコメント分析方法を解説します。YouTubeのデータを収集・分析して、マーケティング活動に活かしましょう。
YouTubeデータ収集がマーケティングで重要視される理由
YouTubeは世界最大の動画共有プラットフォームであり、月間アクティブユーザー数は20億人を超えます。この膨大なユーザーベースを背景に、YouTubeは企業にとって非常に価値のあるマーケティングチャネルとなっています。以下の理由から、YouTubeデータの収集がマーケティングで重要視されています。
消費者インサイトの取得
YouTubeのコメント欄には視聴者の率直な意見や感情が反映されています。これを分析することで、製品やサービスに対する消費者のフィードバックをリアルタイムで把握することが可能です。ポジティブなコメントやネガティブなコメントを分析することで、製品改善やマーケティング戦略の立案に役立てることができます。
ターゲットオーディエンスの理解
YouTubeデータを分析することで、視聴者の年齢、性別、地域などの属性情報を得ることができます。これにより、ターゲットオーディエンスの詳細なプロファイルを作成し、より効果的なマーケティングメッセージを作成することができます。
コンテンツ戦略の最適化
視聴者がどのようなコンテンツに興味を持ち、どのような動画が多く再生されているのかを分析することで、コンテンツ戦略を最適化することができます。特定のジャンルやテーマの動画が人気である場合、そのトレンドに沿ったコンテンツを制作することで、視聴回数やエンゲージメントを増加させることができます。
競合分析
競合他社のYouTubeチャンネルのパフォーマンスを分析することで、自社のチャンネルの強みや弱みを把握することができます。競合の成功事例や失敗事例から学び、自社の戦略に活かすことが可能です。
トレンドの把握
YouTubeはトレンドの宝庫です。新しいトレンドや話題を早期にキャッチすることで、迅速にマーケティング活動に反映させることができます。トレンドを追うことで、ブランドの最新性を保ち、視聴者の関心を引き続けることができます。
YouTubeデータ分析で注目すべき指標
YouTubeのデータ分析は、マーケティング戦略を成功させるために非常に重要です。YouTubeアナリティクスを活用することで、視聴者の行動を詳細に把握し、コンテンツの改善点や新しいアイデアを見つけることができます。以下では、YouTubeデータ分析で特に注目すべき指標について解説します。
再生回数と視聴時間
再生回数と視聴時間は、YouTube動画のパフォーマンスを評価するための基本的な指標です。再生回数は動画がどれだけ視聴されたかを示し、視聴時間は視聴者がどれだけの時間を動画に費やしたかを示します。再生回数が多い動画は多くの人々にリーチしていることを意味し、視聴時間が長い動画は視聴者がその内容に引き込まれていることを示します。
これらの指標を分析することで、どの動画が人気であり、視聴者がどのようなコンテンツを好むのかを理解することができます。したがって、再生回数と視聴時間の両方を重視することで、効果的なコンテンツ戦略を立てることが可能です。
エンゲージメント(いいね、コメント、共有)
エンゲージメントは、視聴者が動画に対してどれだけ関与しているかを示す重要な指標です。具体的には、いいね数、コメント数、共有数がエンゲージメントの主要な指標となります。
- いいね数:視聴者の好感度を示します。
- コメント数:視聴者がどれだけ積極的に意見を交換しているかを示します。
- 共有数:視聴者にとって有益であり、他の人と共有したいと感じたことを示します。
高いエンゲージメントを得ることは、視聴者が動画に強い関心を持っていることの証です。したがって、エンゲージメントを向上させるためには、視聴者との対話を促すなど、反応が得られやすいコンテンツを提供することが重要です。
チャンネル登録者数の増減
チャンネル登録者数の増減は、視聴者が長期的にチャンネルをフォローしたいと感じているかどうかを示す指標です。登録者数が増加している場合、チャンネルが成長しており、視聴者がコンテンツを継続的に消費したいと考えていることを示します。
逆に、登録者数が減少している場合、コンテンツの質や頻度に問題がある可能性があります。登録者数の増減を定期的に監視し、増加傾向にある場合はその要因を分析し、さらに強化することが重要です。また、減少傾向にある場合は、その原因を特定し、迅速に対策を講じる必要があります。
クリック率など
クリック率(CTR)は、サムネイルが表示された際に視聴者がその動画をクリックした割合を示す指標です。高いクリック率は、サムネイルやタイトルが視聴者の興味を引き、動画をクリックする動機となったことを示します。CTRが低い場合は、サムネイルやタイトルを見直し、より魅力的なものに改善する必要があります。
また、クリック率以外にも、動画の視聴維持率やインプレッション数などの指標も重要です。これらのデータを総合的に分析することで、視聴者の興味を引き続けるための効果的なコンテンツ戦略を立てることができます。
YouTubeのコメント分析とは
YouTubeのコメントを収集することで、その動画に対するコメント数やいいね数を計測したり、ユーザーが動画に対してどのような感想を抱いているか把握できたりします。
またワードクラウドを使うことで、コメントの頻出単語を元にユーザーの感情を可視化することも可能です。例えば、こちらのブログ記事をワードクラウドツールで使うと、以下のように頻出語が可視化され、特徴がひと目でわかるようになります。
YouTubeコメント分析のメリット
YouTubeのコメントを分析することのメリットは次のようなものが挙げられます。
- 総コメント数を確認して人気度合いを把握できる
- 動画に対するポジティブ度合いを把握できる
- どのシーンで反応があったか確認できる
コメントの傾向を把握できる
動画に投稿されたコメントをワードクラウドで表示することで、コメントの傾向を効率的に把握することが可能です。過去に投稿された動画やベンチマークしている動画と比較することで、改善案の策定に役立ちます。
ポジティブ度合いを測定できる
コメント内容を分析することで、動画内容のポジティブ度合いの測定が可能です。これにより、動画で訴求したい内容がどれだけ視聴者に伝わっているか、ポジティブに受け取ってもらえているかを分析できます。
どのシーンで反応があったか確認できる
YouTubeではタイムスタンプ付きのコメントを投稿できます。そのコメントのみを抽出することで、視聴者が動画のどのシーンで、どういった反応を示したかを把握することが可能です。
YouTubeのコメント収集に役立つWebスクレイピングとは
YouTubeのコメント機能は、視聴者の生の声が集まる貴重なデータソースです。しかし、手動で大量のコメントを収集するのは時間と手間がかかります。そこで役立つのが「Webスクレイピング」です。Webスクレイピングを活用すれば、自動的に大量のコメントを短時間で収集でき、効率的にデータを分析することができます。
Webスクレイピングは、プログラミングに関するスキルが必要だと感じる方も多いですが、「Webスクレイピングツール」を使うことで、プログラミングの知識やスキルがない方でも、簡単にWebスクレイピングを行うことが可能です。
また、数あるWebスクレイピングツールの中でも、「Octoparse(オクトパス)」では、より簡単にWebスクレイピングを実行できる、スクレイピングテンプレートが充実しています。ここでは、Octoparseのスクレイピングテンプレートについてみていきましょう。
Octoparseのスクレイピングテンプレートとは
Octoparseは、非エンジニアでも簡単にWebデータを収集できる強力なスクレイピングツールです。Octoparseには、数多くの便利な機能が備わっていますが、中でも特に便利なのが、「スクレイピングテンプレート」です。
スクレイピングテンプレートを使うと、特定のウェブサイトからデータを抽出する設定があらかじめ用意されているため、ユーザーは複雑な設定を行う必要がありません。例えば、特定のWebメディアやニュースサイトから記事を収集するテンプレートを使えば、わずかな操作だけで簡単にデータ収集を開始できます。
このように、テンプレートを活用することで、より効率的に必要なデータを取得することが可能です。
https://www.octoparse.jp/template/youtube-video-list-scraper
OctoparseのYoutubeテンプレートとは
Octoparseのテンプレートには、YouTubeのデータ収集に特化したテンプレートもあります。このテンプレートを使用することで、YouTubeの動画コメント、視聴回数、いいね数などのデータを簡単に抽出できます。
具体的には、YouTubeの特定の動画URLを入力するだけで、その動画に関連する全てのコメントを自動的に収集することができます。これにより、大量のコメントを手動で収集する手間が省け、迅速にデータ分析に移ることができます。
また、テンプレートは使いやすいインターフェースを提供しているため、初心者でも簡単に操作可能です。このように、OctoparseのYouTubeテンプレートを活用することで、効果的かつ効率的にYouTubeデータの収集と分析が可能になります。
https://www.octoparse.jp/template/youtube-channel-scraper
YouTubeチャンネルからコメントを抽出する方法
ここでは、実際にYoutubeテンプレートを用いたコメント取得方法を解説します。
ステップ1.事前準備をする
ダウンロードとインストールの手順はこちらを参考にしてください。
- ソフトウェア:Octoparse 8.7.0
- テンプレート:Comments YouTube video
Octoparseのテンプレートから「YouTube」>「Comments YouTube video」を選択します。
https://www.octoparse.jp/template/youtube-video-comments-scraper
ステップ2.テンプレートを選ぶ
Octoparseのトップページに表示されている検索ボックスに「Youtube」と入力し、スタートをクリックしましょう。
YouTube関連のテンプレートが表示されます。にはいくつかの種類が用意されています。その中から「YouTube Video Comments Scraper」を選択します。
ステップ3.動画のURLを入力する
テンプレートが開いたら、パラメータ入力タブ内の「Video URL」のボックス内に、スクレイピングしたいYoutube動画のURLを入力します。URLは複数入力しても大丈夫です。入力が完了したら、「実行」をクリックしましょう。
ステップ4.抽出を実行する
基本情報とパラメーターを入力したら、「保存して実行する」をクリックします。すると「タスク実行」というポップアップが表示され、「ローカル抽出」か「クラウド抽出」のいずれかを選択できます。
クラウド抽出の方が短時間で抽出可能ですが、Octoparse無料版ではローカル抽出のみとなります。必要に応じてプランのアップグレードをご検討ください。
スクレイピングが開始されると、実行中の画面になります。抽出が完了するまで少し待ちます。
わずか、7分弱で1000件以上のコメント抽出が完了しました。
ステップ5.データをエクスポートする
データ抽出完了後、画面右下の「エクスポート」をクリックしてデータをエクスポートします。エクスポート形式は、Excel、CSV、HTML、JSONから選択できます。
ここでは、「フォーマットの指定」でExcelを選択し、「はい」をクリックします。これで抽出されたデータを自動的にExcelにエクスポートできました。
エクスポートデータをUser Localテキストマイニングで分析したことで、以下のようなキーワードプロファイルを得ました。
合法性と倫理的な利用規約
YouTubeのコメントを収集して分析する際には、合法性と倫理的な利用規約を遵守することが重要です。Webスクレイピングは便利な技術ですが、適切に使用しなければ法的問題や倫理的な問題を引き起こす可能性があります。ここでは、Webスクレイピングの合法性と倫理的な利用規約について説明します。
Webスクレイピングの合法性
Webスクレイピングの合法性は、国や地域によって異なる場合がありますが、多くのケースでは以下の点に注意が必要です。まず、利用規約の遵守が求められます。多くのウェブサイトでは、スクレイピングを禁止する旨が利用規約に記載されています。例えば、YouTubeの利用規約にもスクレイピングに関する制約が含まれています。このため、スクレイピングを行う前に、対象となるサイトの利用規約を必ず確認し、それに従うことが重要です。
また、著作権法にも注意が必要です。スクレイピングによって取得したデータをどのように使用するかによっては、著作権侵害となる可能性があります。例えば、取得したコメントを無断で商業利用することは、著作権法に違反する場合があります。このような法律的なリスクを避けるためには、データの利用目的を明確にし、必要に応じて適切な許可を取得することが重要です。
倫理的な利用規約
スクレイピングを行う際の倫理的な考慮も重要です。スクレイピングはウェブサイトに対して負荷をかける可能性があり、大量のデータを短時間で収集すると、サーバーに過剰な負荷がかかり、他のユーザーに影響を与えることがあります。これを防ぐためには、スクレイピングの頻度を適切に設定し、必要以上のデータ収集を避けることが重要です。
さらに、プライバシーの保護も重要な倫理的考慮点です。コメントなどのユーザーデータを収集する際には、個人情報の取り扱いに注意し、匿名化や適切なデータ管理を行うことが求められます。特に、ユーザーのプライバシーを尊重し、収集したデータを悪用しないようにすることが重要です。
まとめ
Octoparseを使えば、プログラミング知識がない方でも驚くほどかんたんにYouTube動画のコメントを自動で収集できます。エクスポートしたデータファイルを使えば、ワードクラウドなどでコメントの特徴・傾向をつかむことが可能です
人気動画の特徴を把握できれば、ユーザーがどんなことに興味関心を抱くかなどデータドリブンなマーケティング活動を行えるので、ぜひ活用してみてください。