デジタル技術の進展にともない、インターネット上にはこれまでと比べ物にならないほど膨大な情報があふれています。種類・性質・量が異なるデータ群は「ビッグデータ」と呼ばれ、近年ビジネスシーンでの活用が見込まれています。さらに、ビッグデータを活用するための技術に「データマイニング」と「機械学習」があります。
言葉はなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが、正しく理解できている方はそう多くありません。そこで本記事では、ビッグデータ・データマイニング・機械学習の意味とそれぞれの役割を詳しく解説します。
1.ビッグデータとは
ビッグデータとは、インターネット上に溢れる膨大なデータ群を総称した用語です。しかし、ビッグデータは単に情報量を示すものではありません。ビッグデータは、「様々な形式・性質が含まれた、様々な種類のデータのこと」です。
一般的には、日々リアルタイムに生成・記録されるようなデータを指すことが多くなっています。こうしたデータ群は膨大なあまり、単一のコンピューターでは処理し切れません。そのため、これまでデータを管理したり、ビジネスに活かしたりできませんでした。
しかし、ビッグデータの活用に拍車を掛けたのが、「MapReduce」という技術です。そしてMapReduceの中でも、「Hadoop(ハドゥープ)」というフレームワークが登場したことで、大量のデータを低コストで分析できるようになりました。
Hadoopは、「大きなデータを小さく分割し、複数のコンピューターで分散して処理できるオープンソースのプラットフォーム」です。この技術により、ペタバイトレベルの非構造化データ(メール、画像、動画などのデータ)の超高速処理が可能になりました。
2.機械学習とは
機械学習とは、データ分析手法の1つで、わかりやすく言えば「人間に備わっている学習能力をコンピュータで実現しようとする技術・手法」を指します。具体的には、あるデータの背景にあるルールやパターンを発見し、それに基づいた予測・判断プロセスの自動化を指します。
例えば、商品購買データには、「購入された商品の合計数」「購入された商品の種類」など、購入者情報が含まれています。これらの購買データから、法則性を見出し販売予測に役立てることが可能です。
とりわけ機械学習の特徴は、複雑に絡み合うデータからでも規則性を導き出すことです。こうした技術は「アルゴリズム」と呼ばれます。
例えば、顧客タイプごとに好みを予測する場合や、顧客の性別や年齢をもとに予測する場合は、より多くの複雑な分析が求められますが、そうした場合でもアルゴリズムはデータの間に潜む規則性・法則性から予測・判断を行います。アルゴリズムにはさまざまな種類が存在し、目的・用途に合ったアルゴリズムを用いることで予測精度を高める事が可能です。
3.データマイニングとは
データマイニングとは、「膨大なデータの中から、データ間の相関関係やパターンなどを発見するための手法」のことです。機械学習との違いは、機械学習が学習によって得られた法則やパターンをもとに機械が自動的に実行処理を行うことに対して、データマイニングはあくまで人の意思決定を支援するための仕組みのことを指します。
両者は厳密には異なるものの、実際にはデータマイニングに機械学習が活用されることも多いです。なぜならアルゴリズムの精度は、大量のデータ供給に依存しているためです。どんなにアルゴリズム技術が洗練されていたとしても、わずか数行のデータから法則性や規則性を導き出すことはできません。そのため、精度の高いデータマイニングを行うためには、まずはデータを集めることが肝要です。一般的に元データの量が多ければ多いほど、有益な情報を発見できる可能性が高まります。
<機械学習とデータマイニングの違い>
機械学習 | 機械学習によって得られた法則やパターンをもとに実行処理(意思決定・判断)まで行うこと |
データマイニング | データの中から法則やパターンを導き出すこと。最終的な意思決定・実行処理は人間が行う |
4.ビッグデータ、データマイニング、機械学習によって得られることとは
ここまで、ビッグデータ、データマイニング、機械学習の意味について解説しました。ビッグデータを活用することは我々にとってどのようなことが得られるのでしょうか。具体的な内容を見ていきましょう。
1.あらゆることが数値で可視化される
私たちの日々の生活は、あらゆる行動がデータとして記録されています。例えば、クレジットカードの取引履歴は購買データとして記録され、ウェアラブルデバイスによって心拍数や呼吸回数もデジタル化されます。スマートフォンのGPSによって、誰が、いつ、どこを訪れたかといった行動特性もデータとして収集されています。
こうしたデータを数値で可視化することで、今まで見えていなかったことや気付かなかったことが、実態として理解できるようになりました。
2.行動パターンから未来を予測できる
世の中の事象にはパターンが決まっていることが少なくありません。例えば、消費者行動では、平日は会社と家を往復する人の割合が高く、休日には旅行・映画・買い物などを楽しむ人の割合が高いでしょう。こうした割合の高さ=パターンとして、消費者の行動を予測できます。
また、企業における人員配置にも活用できます。例えば、店舗の営業時間には、ピーク時間帯と暇な時間帯があります。業界によっては繁忙期・閑散期があり、人的リソースを必要とするパターンはあまり変わりません。
こうした行動パターンは、長期間にわたって一貫している可能性が高いといえます。このように、コンピューターは過去のパターンをもとに未来を予測できます。
3.サービスやプロモーションに活用できる
コンピューターが人々のライフスタイルを予測できれば、企業はプロモーションを展開しやすい時期を把握できます。例えば、金曜日に洗車サービスを受ける人が多いとわかった場合、洗車キャンペーンを実行できますし、3月に旅行ニーズがある場合、ホテルの宿泊クーポンを配布できます。
さらに、店舗ビジネスであれば1日の売上を予測して、収益を最大化するビジネス戦略を構築できます。このように、コンピューターが自社の労働力を合理的に配置して、運用計画を立てる際に役立ちます。
5.ビッグデータ収集に活用できるOctoparseとは
機械学習やデータマイニングを行うには、元となるビッグデータが欠かせません。しかし、膨大な量のデータを集めるためにはどのようにしたら良いかわからない方も多いでしょう。
そこで役立つのが、Webスクレイピングツール「Octoparse(オクトパス)」です。Webスクレイピングとは、Webページなどインターネットコンテンツから、特定のデータだけを自動で抽出するコンピューター技術のことです。
一般的にWebスクレイピングを行うには、PythonやRubyなどのプログラミング言語を用いたコーディングが必要です。そのため、プログラミングスキルを持たない非エンジニア人材にはハードルが高い技術でした。しかしながら、Octoparseはノーコードで扱えるため直感的な操作だけでWebスクレイピングを実行できます。Amazon、Indeed、楽天市場、食べログなど、多くのユーザーが日常的に利用しているWebサイトで、Octoparseを使ったスクレイピングを行えば、驚くほどかんたんに膨大なデータを抽出できます。
抽出したデータは、ExcelやCSVにエクスポートできるため、その後は機械学習やデータマイニングに利用できます。データ抽出に掛かる時間・労力を抑えることで、分析・検証にリソースを割けるでしょう。
まとめ
ビッグデータ、機械学習、データマイニングの違いや特徴について解説しました。ビッグデータは、データの基盤であり、機械学習やデータマイニングはデータを活用するための手段です。
つまり機械学習やデータマイニングによって、消費者行動が予測できるようになれば、私たちはそれを待ち構えるように、早めに計画・準備を進めることができます。それによってユーザーへの価値提供が最大化され、顧客満足度の向上、業績アップにもつながるでしょう。