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ブラウザフィンガープリントとは?おすすめのアンチ検出ブラウザ9選も紹介

約7分で読めます

デジタルマーケティングの世界では、ユーザーの行動を追跡し、効果的な広告を配信するために様々な技術が使用されています。その中でも特に注目されているのが「ブラウザフィンガープリント」です。この技術は、ユーザーのブラウジング環境に基づいて一意の識別子を生成し、ユーザーを追跡することができます。本記事では、ブラウザフィンガープリントの基本的な概念からその用途、さらにプライバシー保護のためのアンチ検出ブラウザについて詳しく解説します。

ブラウザフィンガープリントとは(デジタル指紋)

ブラウザフィンガープリント(デジタル指紋)とは、ユーザーのブラウジング環境から収集される一連の情報をもとに、ユーザーを一意に識別する技術です。具体的には、画面の解像度、オペレーティングシステム、言語、タイムゾーン、インストールされている拡張機能、フォントなどの情報が組み合わされ、ハッシュ化されます。このハッシュ化されたデータは、ユーザーの「指紋」として扱われ、追跡に使用されます。

ブラウザフィンガープリントの技術は、特にCookieの代替技術として注目されています。Cookieよりも正確性には劣るものの、一意の識別子を生成することで、ユーザーの閲覧履歴を追跡し、パーソナライズされた広告の配信などに利用されます。

ブラウザフィンガープリントの実装は、GitHubで公開されているオープンソースライブラリ「FingerPrint2」を利用することで比較的簡単に行えます。FingerPrint Proでは、99.5%の識別精度を誇ります。

近年、ブラウザフィンガープリントも個人情報保護の観点から規制対象として注目されています。例えば、GoogleはCookieとともにフィンガープリントについても規制を強化する方針を発表しており、EUのGDPR(一般データ保護規則)やAppleのSafariブラウザにおける「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」の動向など、プライバシー保護の取り組みが進められています。

ブラウザフィンガープリントの用途

ブラウザフィンガープリントは、その特性を活かして様々な用途に利用されています。以下に、具体的な用途をいくつか紹介します。

不正アクセスの防止

ブラウザフィンガープリントは、不正アクセスの防止に有効です。例えば、銀行のウェブサイトなどの認証サーバは、ユーザーのログイン時にフィンガープリントを取得・保存し、次にログインしたときの情報が前回と大きく異なる場合には別の端末からのアクセスの可能性が高いと判断します。

この方法により、不正アクセスを防止することができます。これは、フィンガープリントが各ユーザーの環境を一意に識別できるためであり、異なるフィンガープリントが検出された場合には警戒信号として扱われるからです。したがって、ブラウザフィンガープリントはセキュリティ対策として重要な役割を果たしています。

ターゲティング広告

ターゲティング広告にもブラウザフィンガープリントは利用されています。ユーザーのブラウジング履歴や行動パターンを解析することで、そのユーザーに最適化された広告を配信することができます。

例えば、ユーザーがヘアケア製品のウェブページを頻繁に閲覧している場合、関連する商品の広告を他のウェブサイト上で表示することができます。これは、ブラウザフィンガープリントがユーザーの興味や関心を反映したデータを提供するためです。結果として、広告の効果が高まり、企業のマーケティング戦略が強化されます。

アカウントの多重管理

ブラウザフィンガープリントは、複数のアカウントを管理する際にも役立ちます。特にソーシャルメディアやeコマースプラットフォームにおいて、異なるアカウントを安全かつ効率的に運用するために利用されます。

例えば、マーケティング企業が複数のクライアントのアカウントを同時に管理する場合、それぞれのアカウントが異なるブラウザフィンガープリントを持つことで、プラットフォームからの検出や制限を回避することができます。これにより、アカウント運用のリスクを低減し、業務の効率化を図ることができます。

Webスクレイピング

Webスクレイピングにおいてもブラウザフィンガープリントは重要な役割を果たします。スクレイピングツールがサイトからデータを収集する際に、サイト側の検知を避けることが可能です。さらに、異なるブラウザフィンガープリントを使用すれば、複数のユーザーからアクセスしているかのように見せかけることができます。

これにより、サイトからのブロックを避け、データ収集の効率を向上させることが可能です。結果として、データ取得作業をスムーズに進めることができます。

ブラウザフィンガープリントとサードパーティクッキーの違い

ブラウザフィンガープリントとサードパーティクッキーは、どちらもインターネットでのユーザー追跡に使われる技術ですが、その仕組みや特徴には大きな違いがあります。

ユーザーの特定方法

ブラウザフィンガープリントは、ユーザーが使っているパソコンやスマホの情報(例えばブラウザの種類やバージョン、インストールされているプラグイン、タイムゾーン、画面の解像度など)を組み合わせて一意の識別子を作成します。この識別子を使って、ユーザーを追跡することができます。

一方、サードパーティクッキーは、ウェブサイトを訪れた際にブラウザに保存される小さなデータファイルのことです。このファイルを使うことで、次回同じサイトを訪れたときにユーザーを認識できます。

プライバシーと規制

サードパーティクッキーは、使用するためにユーザーの同意が必要です。ウェブサイトにアクセスしたときに「クッキーを使用しますか?」と尋ねられるのはそのためです。ブラウザフィンガープリントは、ユーザーの同意なしに情報を収集できます。

プライバシー保護の観点から、サードパーティクッキーはヨーロッパのGDPRやカリフォルニア州のCCPAなどの法律で厳しく規制されています。近年ではブラウザフィンガープリントもこれらの規制の対象となるケースが増えています。

実装と使用方法

ブラウザフィンガープリントを実装するのは比較的簡単です。例えば、「FingerPrint2」というオープンソースのライブラリを使えば、ブラウザから情報を収集してフィンガープリントを生成できます。

一方、サードパーティクッキーはウェブサイトがクッキーデータを生成し、ブラウザに保存する仕組みです。技術的にはそこまで難しくありませんが、利用するにはあらかじめユーザーの同意を得る必要があります。

広告の表示方法

ブラウザフィンガープリントを使うと、より正確にあなたに合った広告を表示できます。これは、フィンガープリントが詳細な情報を収集できるためです。しかし、プライバシーの懸念から、ユーザーがこの技術に反発することもあります。

一方、サードパーティクッキーは、ユーザーの同意が得られない場合にデータ収集が制限されるため、ターゲティング広告の精度が下がることがあります。そのため、企業はクッキーに代わる新しい技術を模索しています。

アンチ検出ブラウザとは

アンチ検出ブラウザとは、オンライン活動の匿名性を高めたり、複数のオンラインアカウントを安全に管理するために使用される特別なブラウザのことです。このブラウザは、Webサイトがユーザーを追跡するのを防ぐためのさまざまな技術を組み込んでいます。

アンチ検出ブラウザの概要

アンチ検出ブラウザは、ブラウザフィンガープリントの技術を逆手にとり、その識別方法を混乱させることでユーザーの匿名性を確保します。

通常のブラウザ(例えばGoogle ChromeやFirefox)では、ブラウザフィンガープリント技術を使ってユーザーを容易に追跡できますが、アンチ検出ブラウザを使用すると、その識別が非常に難しくなります。これにより、ユーザーはプライバシーを保ちながらインターネットを利用できるようになります。

アンチ検出ブラウザの機能

アンチ検出ブラウザは、フィンガープリントを防ぐために設計されています。具体的には、以下のような機能を持っています。

  • フィンガープリントのスクランブル:ブラウザが送信する情報を変化させ、特定のユーザーを識別するのを困難にします。
  • IPアドレスの匿名化:プロキシサーバーを使用して、ユーザーの実際のIPアドレスを隠します。
  • クッキーとキャッシュの制御:各ブラウザセッションでクッキーやキャッシュを分離し、同じユーザーが再度特定されるのを防ぎます。

アンチ検出ブラウザの利用シーン

アンチ検出ブラウザは、次のようなシーンで利用されます。

  • オンラインプライバシーの保護:ユーザーが匿名でインターネットを利用したい場合、アンチ検出ブラウザは有効です。特に、検閲を回避したり、プライバシーを重視する活動に適しています。
  • 複数アカウントの管理:ソーシャルメディアマーケティングやeコマースで、複数のアカウントを同時に運用する必要がある場合、各アカウントが異なるユーザーとして認識されるように管理することができます。
  • Webスクレイピング:データ収集のために自動化ツールを使う場合、サイト側のブロックを回避するためにアンチ検出ブラウザを使用します。これにより、効率的にデータを収集できます。

アンチ検出ブラウザのおすすめ9選

アンチ検出ブラウザは、オンラインプライバシーを守りながら複数のアカウントを管理するための強力なツールです。以下では、特におすすめのアンチ検出ブラウザ9選を紹介します。

AdsPower

公式サイト

AdsPowerは、マルチアカウント管理を目的としたアンチ検出ブラウザで、ChromiumとFirefoxベースのブラウザを提供しています。オンラインプライバシーの保護とアカウントの安全性を高める機能が豊富です。

特徴

  • フィンガープリント管理:ChromiumエンジンとFirefoxエンジンをベースにしたブラウザで、ユーザーのフィンガープリントを管理し、実際のパラメータを公開することなくGoogleアカウントを実行可能。
  • タスク自動化:ローカルAPIとRPAロボットを使用して反復タスクを自動化でき、生産性を向上させます。
  • 安全なデータ管理:データの送信やサーバーも含めて暗号化されており、第三者がデータにアクセスすることを防ぎます。

Multilogin

公式サイト

Multiloginは、ウェブサイトがユーザーを単一の人物として特定するのを回避し、複数の本物のユーザーとして識別されるように設計されたブラウザです。これにより、アカウントの検出や禁止を防ぎながら、効率的なデータ収集とマルチアカウント管理を実現します。

特徴

  • フィンガープリントマスキング:独自のフィンガープリントを持つブラウザプロファイルを作成し、検出を回避します。
  • オープンAPIと自動化ツール:包括的なAPIと拡張機能を利用して、スケーリングと自動化を容易にします。
  • ローカルおよびクラウドストレージ:プロファイルデータをローカルまたは暗号化されたクラウドに保存し、即時の同期と起動をサポートします。

Dolphin Anty

公式サイト

Dolphin Antyは、複数のオンラインアカウントを管理し、効率的に運用するために設計されたアンチ検出ブラウザです。特にチームでの使用やプロセスの自動化に優れた機能を備えています。

特徴

  • リアルなフィンガープリントブラウザプロファイル:実際のユーザーから収集したフィンガープリントを使用して、新しいブラウザプロファイルを作成します。これにより、通常のインターネットユーザーとして認識されます。
  • チームワークの向上:アカウントのステータス、ノート、プロキシの追跡など、チームでの効果的な作業をサポートする機能が充実しています。
  • プロファイル管理:一つのデバイスから数百のユニークなプロファイルを管理でき、それぞれのプロファイルは完全に独立したウェブ環境を持ちます。キャッシュやクッキーなども完全に分離されています。

GoLogin

公式サイト

GoLoginは、ユーザーのデジタルフィンガープリントを隠し、Web上での匿名性を高めるためのブラウザです。Chromiumベースで動作し、さまざまなオンライン活動を安全かつ効果的に行うことができます。

特徴

  • 指紋管理:指紋の各パラメーターをカスタマイズ可能で、50以上の接続特性を調整することで、ユーザーのオンラインIDを模倣します。
  • 分離されたプロファイル:各ブラウザプロファイルはクラウドに個別に保存され、データ保護とWebの匿名性が保証されます。
  • チームワークのサポート:プロファイルとプロキシを共有し、チームメンバーごとに権限を割り当てることで、効果的なチームワークを実現します。

Octo Browser

公式サイト

Octo Browserは、複数のアカウントを簡単に作成・管理し、IPバンや追加費用なしで運用するためのブラウザです。最新のChromiumソースを基にしており、リアルなデバイスのフィンガープリントを提供します。

特徴

  • マルチアカウント管理:1つのデバイスで数千のアカウントを管理でき、各プロファイルは異なるブラウザフィンガープリントを持ちます。
  • フィンガープリント管理:すべてのフィンガープリントパラメーターを制御でき、デバイスに対する追加のチェックを保護します。
  • API自動化:Puppeteer、Seleniumなどのライブラリを使用して、すべてのアカウントとプロファイルの操作を自動化できます。

Incogniton

公式サイト

Incognitonは、ユーザーが複数のブラウザプロファイルを一つのアプリケーションで管理し、デジタルフィンガープリントを保護するためのブラウザです。使いやすいインターフェースと高度な自動化機能を提供しています。

特徴

  • 複数のブラウザプロファイル:一つのアプリケーションから複数のユニークなインターネットブラウザにアクセスできます。各プロファイルは独自のデジタルフィンガープリントを持ちます。
  • チームコラボレーション:チームメンバーごとに別々のログインを作成し、特定の権限を割り当てることで、チームでの効率的な作業をサポートします。
  • 自動化機能:SeleniumやREST APIを使用して、ブラウザ操作を自動化することが可能です。これにより、繰り返しの操作を簡単に自動化できます。

Kameleo

公式サイト

Kameleoは、ユーザーが複数のブラウザプロファイルを一つのPCで管理できるように設計されており、各プロファイルは異なるブラウザフィンガープリントを持ちます。AndroidやiOSデバイスでも使用可能です。

特徴

  • ユニークなフィンガープリント:各プロファイルに対して一貫した実生活に近いブラウザフィンガープリントを提供し、アカウントの禁止を防ぎます。
  • モバイルプロファイル:AndroidデバイスでKameleo Mobileをインストールし、2クリックでブラウザフィンガープリントを変更可能です。
  • 自動化統合:Selenium、Puppeteer、Playwrightなどの人気のある自動化フレームワークと統合し、数行のコードで数百のバーチャルブラウザプロファイルを開始できます。

MoreLogin

公式サイト

MoreLoginは、複数のアカウントを安全に管理し、アカウントバンを防ぐためのブラウザです。機械学習を利用して、リアルなキャンバスフィンガープリントを提供し、ウェブサイトの検出を回避します。

特徴

  • リアルキャンバスフィンガープリント:機械学習技術を使用して、リアルなキャンバスフィンガープリントを収集し、ウェブサイトの検出を回避します。
  • チームコラボレーション:柔軟な権限管理と共有設定を提供し、チームメンバーと効率的にコラボレーションできます。
  • 自動化API:SeleniumやPuppeteerを使用して大規模なタスクを自動化し、ウェブサイトの検出を回避しながら複雑な自動化タスクを実行できます。

X-Browser

公式サイト

X-Browserは、広告ブロック機能やプライバシー保護機能を備えた軽量ブラウザです。TamperMonkeyやGreaseMonkeyのユーザースクリプトを統合しており、柔軟にブラウザの機能を拡張できます。

特徴

  • 軽量で高速:X-Browserはわずか1MBのサイズで、起動が非常に速く、リソース消費も少ないです。
  • プライバシー保護:最小限の権限のみを要求し、ニュースフィードやプッシュ通知などの不要な機能が一切なく、ユーザーのプライバシーをしっかりと保護します。
  • 広告ブロック:強力な広告ブロック機能を持ち、ABPルール構文をサポートし、サードパーティのルールもインポート可能です。

まとめ

本記事では、ブラウザフィンガープリントの基本概念とその用途、そしてプライバシー保護のためのアンチ検出ブラウザについて解説しました。ブラウザフィンガープリントは、ユーザーのデバイスやブラウザの情報を利用して一意の識別子を生成し、ユーザーを追跡する技術です。

この技術は、不正アクセス防止やターゲティング広告などに広く利用されていますが、プライバシー保護の観点では注意が必要です。アンチ検出ブラウザは、ユーザーを保護し、複数のアカウントを安全に管理するためのツールです。

今回紹介したアンチ検出ブラウザをはじめ、安全でプライバシーが保護されたオンライン活動を実現するために、適切なツールを活用していくことが大切です。

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