ビッグデータの活用ニーズが高まるなか、Webスクレイピングが注目を集めています。複数のWebサイトからデータを抽出し、ビジネス課題の解決や新しいビジネスを立ち上げたいと考える方も多いでしょう。
ビッグデータは、市場動向、顧客の好み、競合他社の分析に関連した情報を提供します。今やWebスクレイピングは、単にデータを収集するだけでなく、企業のマーケティング活動において必要不可欠と言ってもよいでしょう。
ただし、Webスクレイピングプロセスをスケールアップすると、ブロッキングメカニズムなどの多くの課題が発生し、データを取得できなくなる可能性があります。ここではWebスクレイピングが抱える8つの課題と解決方法を紹介します。
1.Botアクセス
Botアクセスとは、Webサイトに訪問するアクセスの中で、人間によるアクセスではなく、ロボットによる機械的なアクセスを指します。
Botアクセスの中には、悪質なものも存在するため、WebサイトによってはBotアクセス自体を禁止しているケースも少なくありません。Webサイトの利用規約にはWebスクレイピングに関する事項が記載されている場合があります。
Webスクレイピングを実行する際は、ターゲットとなるWebサイトの利用規約を良く読み、サイト運営者に許可を得ることが必要です。その際、Webスクレイピングを行う目的や収集したデータの用途を明示し、悪意がないことを伝えましょう。それでも許可がもらえない場合は、別のサイトを探した方が賢明です。
2.複雑で変更可能なWebページ構造
ほとんどのWebページはHTML(Hypertext Markup Language)で構築されています。 Webデザイナーによって構築されたWebページは、サイトごとに構造が異なります。
そのため、複数のWebサイトをスクレイピングする場合は、WebサイトごとにそれぞれWebスクレイパーを構築する必要があります。
さらに注意しなければならないのは、Webサイトは定期的にコンテンツが更新されたり、新しい機能が追加されたりすることです。これにより、Webページの構造が変わる場合があります。
Webスクレイピングは、Webページの構造に従って設定されるため、更新されたページでは機能しなくなることがあります。ターゲットとなるWebサイトの更新状況は常に把握し、都度Webスクレーパーを調整するようにしましょう。
WebスクレイピングツールのOctoparseは、さまざまなWebページを処理するために、カスタマイズされたワークフローの使用によって人間の動作をシミュレーションします。そのため、Webページの構造や変更に合わせてワークフローを簡単に調整できます。
3.IPブロッキング
IPブロッキングとは、WebスクレーパーがWebサイトへのアクセスを防ぐための方法です。一般的には、同じIPアドレスから多数のリクエストが検出された時に作動します。IPブロッキングが作動したWebサイトは、リクエストを受けたIPのアクセスを完全に禁止するか、アクセスを制限しスクレイピングプロセスを破壊します。
IPブロッキングを回避するために、近年ではIPプロキシサービスが登場しています。IPプロキシサービスは自動スクレーパーと統合することで、アクセスが遮断されないようにできます。
例えば、Octoparseのクラウド抽出では、複数のIPアドレスを使用して1つのWebサイトを同時にスクレイピングします。それによって、同一のIPアドレスが何度もリクエストしなくて済むため、IPブロッキングを防ぎます。さらに複数のIPアドレスがアクセスするため、スクレイピングプロセスが高速化され、データ抽出に掛かる時間も短縮します。
4.CAPTCHA(キャプチャ)
CAPTCHA(キャプチャ)とは、人間には理解できるがコンピューターでは解析しにくい情報(歪んだ文字列や画像など)を提示し、正しく答えられるかチェックする仕組みのことです。Webサイトでは、しばしばコンピューターによるアクセスを遮断するために用いられます。
CAPTCHA認証を回避するには、CAPTCHAソルバーをボットに実装することが有効です。CAPTCHAソルバーを実装することで、継続的なデータフィードの取得に役立ちます。ただし、Webスクレイピング完了までに掛かる時間が増えるなど、多少なりとも生産性に影響する可能性があります。
CAPTCHAに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご欄ください。
5.ハニーポットトラップ
ハニーポットとは、わざと不正アクセスやサイバー攻撃を受けやすいようにトラップを設定し、行動を監視して、相手の手口を分析する手法のことです。
主に、Webサイトの所有者がWebスクレーパーを捕まえるためにページに設置されることがあります。ハニーポットはHTMLコード内に仕込まれており、通常のWebサイト訪問者には見えないリンクです。
しかし、Webスクレーパーを用いることでハニーポットを発見できるようになります。Webスクレーパーは、ハニーボットが仕掛けられたページを閲覧すると、Webサイト側は人間の訪問者ではないことを識別し、そのクライアントからのすべてのリクエストを抑制またはブロックします。
Octoparseは、ハニーポットが仕掛けられたリンクをクリックしないように、Xpathを使用することで、クリックまたはスクレイピングするアイテムを正確に特定します。これにより、トラップに陥る可能性が大幅に減少します。
6.遅い/不安定な表示速度い
アクセス要求が多すぎると、Webサイトの応答が遅くなったり、読み込みに失敗したりする場合があります。人間がサイトを閲覧するときは、Webページを再読み込みし、Webサイトが回復するのを待つだけなので特に問題はありません。しかし、Webスクレイパーは不安定な表示速度に対処する方法を知らないため、スクレイピングが機能しなくなる可能性があります。
こうした表示速度の問題を解決するために、Octoparseでは特定の条件においてWebページの読み込みが自動的に行われるように、ワークフローのカスタマイズも可能です。
7.ログイン
一部のWebページでは、アクセスする際にログインが求められる場合があります。ログインに必要な認証情報を送信すると、ブラウザはCookie値を自動的に記憶するため、それ以降同じWebサイトにログインする際は同一人物からのアクセスであると認識されます。
そのため、ログインが必要なWebサイトをスクレイピングするときは、リクエストとともにCookieが送信されていることを確認してください。
Octoparseでは、ログインが必要なWebサイトのスクレイピングを行う際にも、自動的にCookieを保存するため、定期的なスクレイピングタスクの設定もかんたんに行うことができます。
8.リアルタイムデータスクレイピング
ECサイトなどにおいて、特定製品の価格や在庫数は度々変動するため、リアルタイムでのデータ収集が欠かせません。
WebスクレイパーはWebサイトを常に監視し、最新データを抽出する必要があります。 しかしながら、リクエストとデータ配信に時間がかかるため多少の誤差があります。 とりわけ大量のデータをリアルタイムで取得するとなると、その影響度合いは大きくなります。
Octoparseのスケジュールされたクラウド抽出では、5分以上の間隔でWebサイトをスクレイピングして、ほぼリアルタイムのスクレイピングを実現できます。
まとめ
Webスクレイピングには、まだまだ多くの課題が存在しますが、スクレイピングの普遍的価値は変わりません。Webスクレイピングの原則は「Webサイトを適切に扱うこと」です。
あくまでも人間のように振る舞うことでスクレイパーのブロックを防ぐことができます。今回紹介したとおり、OctoparseをはじめWebスクレイピングツールを使えば、Webスクレイピング上のあらゆる課題を解消できます。中でもOctoparseは無料で使える上、ノーコードで扱えるのでWebスクレイピング初心者に最適なソリューションです。ぜひ活用してみてください。