インターネット上で情報を検索する際、私たちは何気なく検索エンジンを利用しています。しかし、その裏側では「クローラー」と呼ばれるプログラムがWebサイトを巡回し、情報を収集・整理することで、適切な検索結果を表示する仕組みが働いています。クローラーの動作を理解することは、SEO対策においても重要なポイントの一つです。
本記事では、Webクローラーの基本的な仕組みや役割、SEOとの関連性を解説し、Webサイト運営者が知っておくべきSEO最適化のポイントを紹介します。
クローラーとは?
クローラーとは、インターネット上の情報を集めるためのロボットのようなものです。
このプログラムは、インターネット上の情報を「クローリング」という方法で収集し、必要な時にすぐにその情報を取り出せるようにします。
はじめに、クローラーの概要と種類について解説します。
クローラーの概要
クローラーとは、インターネット上のWebページを自動的に巡回し、データを収集するプログラムです。
特に、検索エンジンが使用するクローラーは、インターネット上のページを解析し、検索結果の精度を向上させる役割を果たします。
例えば、巨大なショッピングモールで特定の商品を探す時、案内所で商品の場所を尋ねると、どの店舗でその商品が見つかるか教えてもらえます。Webクローラーは、インターネットという広大なショッピングモールの中で、この案内所のような役割を果たしています。Webクローラーが集めた情報によって、私たちは必要なウェブページを迅速に見つけることができるのです。
クローラーの種類
クローラーには、用途によって異なる種類が存在します。
主に「検索エンジン用クローラー」「SEOツールのクローラー」「Webクローラーツール」の3つです。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
検索エンジン用クローラー(Googlebot, Bingbot など)
検索エンジン用クローラー は、GoogleやYahoo! Japanなどの検索エンジンが使用するクローラーです。これらはWebサイトを巡回し、ページの情報を収集し、検索エンジンのデータベースに登録します。
検索時の表示順位などに関わるため、SEO対策を行う際には、この検索エンジン用クローラーへの対策が重要となります。
主な検索エンジン用クローラーは以下の通りです。
- Googlebot(Google)
- Bingbot(Microsoft)
- Yahoo Slurp(Yahoo!)
- Baiduspider(百度)
- Yetibot(Naver)
- Yandex Bot(Yandex)
世界ではさまざまな検索エンジン用クローラーが存在し、国によってシェアも異なります。日本では7割近くのユーザーがGoogleの検索エンジンを利用しています。
SEOツールのクローラー(Google Search Console, Screaming Frog など)
SEOツールのクローラー は、Google Search ConsoleやScreaming FrogなどのSEO分析ツールが利用するクローラーです。これらのクローラーは、サイトのエラーチェック、内部リンク構造の確認、メタデータの解析などを行い、SEO改善に役立ちます。検索エンジン用クローラーとは異なり、インデックス化には関与しませんが、サイトの状態を把握するために重要です。
Webクローラーツール
Webクローラーツールは、手動でのデータ収集作業を自動化するために使用されます。例えば、特定のウェブサイトから定期的に最新情報を収集したり、複数のウェブサイトから商品の価格情報を集めて分析したりするために使われます。これにより、従来手作業で行っていた入力作業が不要になるため、時間と労力を大幅に節約できます。
Webクローラーツールには、「Octoparse」などが挙げられます。
クローラーの動作プロセス
クローラーは、特定のルールに従いながらWebページを巡回し、情報を収集します。クローラーの動作プロセスを理解することで、SEOの最適化が可能となります。
クローラーの動作は、主に「クロール対象の選定」「クローラーの巡回」「インデックス化」「検索順位の決定」の4つのステップに分かれます。それぞれ見ていきましょう。
クロール対象の選定(Crawl Scheduling)
検索エンジンのクローラーは、無作為にWebサイトを巡回するわけではなく、一定のルールに基づいてクロール対象を選定します。このプロセスは「Crawl Scheduling」と呼ばれています。
たとえば、Googlebotは、Webサイトの更新頻度、外部からの被リンク数、サイトの過去のクロールデータなどを考慮し、どのページを巡回すべきかを決定します。
また、robots.txt や meta robots にてクロールの拒否設定を行うことで、特定ページのクロールを制限することが可能です。
クローラーの巡回(Crawling)
クローラーの巡回(Crawling)は、検索エンジンがWebページの情報を収集するプロセスです。クローラーはサイトの内部リンクや外部リンクを辿り、新しいページを発見していきます。たとえば、あるページから別のページへリンクが張られている場合、クローラーはそのリンクを通じて新しいコンテンツへアクセスし、巡回範囲を広げていきます。
インデックス化(Indexing)
インデックス化(Indexing)は、クローラーが収集したページを検索エンジンのデータベースに登録するプロセスです。インデックスされたページは、検索エンジンに表示されるようになります。
検索順位の決定(Serving & Ranking)
検索順位の決定(Ranking)は、クローラーによって収集・インデックス化されたWebページの評価を行い、検索結果の順位を決めるプロセスです。
たとえば、Googleのアルゴリズムは200以上の要素を考慮し、数か月毎に細かい変更があると言われていますが、特に重要なのは以下のポイントです。
- コンテンツの品質(E-E-A-T)
Googleは「経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)」を重視しています。高品質な記事ほど、検索結果での評価が高まります。
- 被リンクの数と質
他のWebサイトからのリンクは、ページの信頼性を示す指標となります。特に権威性の高いサイトからの被リンクはSEOにプラスの影響を与えます。
- ユーザー行動の分析
クリック率(CTR)、滞在時間、直帰率などのデータも考慮され、ユーザーにとって価値のあるページが上位に表示されやすくなります。
クローラーがSEOに与える影響
クローラーの動作は、検索エンジンのSEOに大きな影響を与えます。Webサイトが適切にクロールされ、インデックスされなければ、どれほど良質なコンテンツを用意しても検索結果に表示されることはありません。また、クローリングの頻度やページの更新速度も、検索順位に直接影響を及ぼします。
ここでは、クローラーがSEOに与える影響について解説します。
検索エンジンへの表示
Webサイトが検索エンジンに表示されるためには、クローラーによる適切なクロールとインデックス化が必要です。
ただし、全てのWebページをインデックス化するわけではありません。
ページの内容が検索エンジンの品質基準を満たしている必要があります。低品質なコンテンツや、コピーコンテンツが多いサイトは、インデックスされない傾向があるため注意しましょう。
また、サイトの内部構造も検索エンジンへの表示に影響を与えます。内部リンクが適切に設定されていると、クローラーがスムーズにサイトを巡回し、新しいページを速やかに発見できます。
検索時の表示順位

検索エンジンの表示順序は日々変化します。Googleなどの検索エンジンは、ユーザーに最適な情報を提供するために、ランキングアルゴリズムを常に更新し、表示順位を調整しています。そのため、ある日検索結果の上位に表示されていたページが、翌日には順位が下がることも珍しくありません。
検索エンジンで上位表示を目指す場合は、ページの品質向上やメンテナンスを定期的に行うと良いでしょう。
ページ更新に対する反映スピード
Webページの更新内容が検索結果にどの程度のスピードで反映されるかは、クローラーの巡回頻度に大きく左右されます。クローラーが頻繁に訪れるサイトでは、新しいコンテンツが迅速にインデックスされ、検索結果に反映されるスピードも速くなります。一方で、クロール頻度が低いサイトでは、更新内容が検索エンジンに認識されるまでに時間がかかり、SEOの効果が遅れる可能性があります。
更新の反映スピードを向上させるためには、サイトの更新頻度を高めることが有効です。定期的にコンテンツを追加・修正することで、クローラーの巡回頻度が増し、変更内容が迅速に反映されるようになります。
また、Google Search Consoleの「URL検査」ツールを活用すると、特定のページのクロールを手動でリクエストできます。新しく追加したコンテンツや、重要な更新があったページはクロールのリクエストを忘れずに行いましょう。
SEO対策におけるクローラー最適化のポイント
ここまで、クローラーとSEOの関係性について解説してきました。検索エンジンでの上位表示を狙うためには、クローラーが効率よくサイトを巡回し、適切にインデックスされる環境を整えることが不可欠です。つまり、SEO対策はクローラー対策と言っても過言ではありません。
最後に、SEO対策におけるクローラー最適化のポイントを解説します。
サイトマップの最適化
クローラーがサイトを適切に巡回するためには、サイトマップの活用が不可欠です。サイトマップとは、Webページの一覧をまとめたファイルであり、検索エンジンに対して「このページをクロールしてください」と指示を送る役割を持っています。特にXMLサイトマップは、Googlebotが優先的に巡回すべきページを認識するために有効です。
XMLサイトマップを最適化するには、不要なURLを含めないようにしましょう。noindexを設定したページなどはサイトマップに記載不要です。また、サイトマップを定期的に更新し、新しく追加したページを迅速にクロールさせることも大切です。
インデックス最適化
構造化データ(Schema.org)を導入することで、検索エンジンがページの内容をより正確に理解できるようになります。検索エンジンは通常、HTMLのテキスト情報を解析しながらページの内容を判断しますが、構造化データを活用することで、コンテンツの意味やカテゴリを明確に伝えることができます。
たとえば、ECサイトで商品情報を提供する場合、価格や在庫状況、レビュー評価などのデータを最適化すると、検索時にリッチリザルト(検索一覧画面上で写真やレビュー数などが表示される)として表示される可能性が高まります。
さらに、近年ではGoogleのSGE(Search Generative Experience)の導入により、検索結果の表示形式が進化しています。SGEは、AIによる回答生成を組み合わせた検索結果を提供する仕組みであり、より高度なコンテンツ理解が求められるようになっています。従来のリッチリザルトに加え、AIが参照する情報源として認識されるためには、構造化データの適用と高品質なコンテンツの提供がますます重要になっています。
参考記事:構造化データとは
サーバーレスポンスの改善
Webサイトの表示速度は、クローラーの巡回効率や検索順位に大きな影響を与えます。
サーバーの応答速度を改善するためには、Webサイト内のリダイレクトを削減する、画像やスクリプトの最適化が効果的です。
さらに、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を活用することで、クローラーが世界中の複数のサーバーからコンテンツを取得できるようになり、巡回効率が向上します。このように、サーバーレスポンスの最適化は、クローラーの巡回を助けるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスの向上にも直結します。Webサイトのパフォーマンスを最適化することで、SEO効果を最大化しましょう。
まとめ
本記事では、クローラーの仕組みやSEOとの関係、そして最適化のポイントを解説しました。クローラーはWebページを巡回し、情報を収集・整理するプログラムであり、検索エンジンが適切な検索結果を提供するための基盤となっています。そのため、クローラーの動作を理解し、適切に最適化することは、SEOにおいて極めて重要です。
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