「Webスクレイピングを学習したいけど、どの言語がおすすめ?」「Webスクレイピングツールに頼らずWebクローラーを自作したい」このように、Webスクレイピング学習を始めようと思っても、どの言語から学べば良いかわからない方も多いでしょう。
そこで、今回はWebスクレイピングにおすすめのプログラミング言語を紹介します。これからWebスクレイピングを独学しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Webスクレイピングとは?
そもそもWebスクレイピングとは、Webサイト上の特定データを自動で抽出し、データベースやスプレッドシートなどに格納し、分析可能な構造化データへと変換するWeb技術のことです。
「クローラーボット」と呼ばれるサイトクローラーが、Webサイトを巡回し、特定のデータをかき集めます。
このクローラーボットを作るにはプログラミングが必要です。プログラマーのコーディングによりWebクローラーを構築することで、特定のWebサイトからあらゆるデータを取得できるようになります。
しかし、一言でプログラミングといっても世の中には様々な言語が存在します。言語によってそれぞれ特徴が異なるため、スクレイピングに不向きな言語もあります。
初心者がプログラミングでWebスクレイピングを行う場合は、まずは各言語の特徴を理解したうえで、取得する言語を決めるところから始めると良いでしょう。
Webスクレイピングにおすすめの言語4選
ここからは、Webスクレイピングにおすすめの言語を紹介します。独学に役立つ書籍情報も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Python
Pythonは、IoT分野やAI(人工知能)開発で用いられることが多く、近年世界中で人気急上昇中の言語です。特にスクレイピングにおいては、今回紹介する言語の中で最適なプログラミング言語といっても過言ではありません。大きな特徴としては、開発を効率化する「ライブラリ」が豊富に揃っていることが挙げられます。
ライブラリを使うことで、イチからコードを記述する必要がなく、効率的にスクレイピングプログラムを構築できます。また、Pythonはスクレイピング関連の書籍や、Web上の情報も充実しているので、初心者の方でも学習しやすい言語といえます。
おすすめの本:「Pythonクローリング&スクレイピング -データ収集・解析のための実践開発ガイド」
Ruby
Rubyは、日本人のエンジニアまつもとゆきひろ氏によって開発されたスクリプト言語(プログラミング言語の一種)です。国内ではWeb系企業を中心に人気があります。Rubyでは、「Ruby on Rails」といったフレームワークがあり、開発効率を高めることができます。
Webアプリケーション開発以外にもスクレイピングも可能で、Pythonと比べて軽量なライブラリで実装出来るのがメリットです。特にRubyでスクレイピングをする際に便利なライブラリに「Nokogiri」があります。Nokogiriを使えば、HTML上の任意の箇所から文字列を抜き出したり、動的にHTMLを作成できます。Pythonと同等のライブラリに比べても扱いやすいのが特徴です。
おすすめの本:「Rubyによるクローラー開発技法 巡回・解析機能の実装と21の運用例」
JavaScript
JavaScriptは、主にWebサイトやWebアプリケーション開発に用いられるスクリプト言語です。一般的にはHTML/CSSと組み合わせて、動的なWebサイトを作る際に用いられます。
一方で、Node.jsなどを組み合わせることで、サーバーサイド開発が可能になりスクレイピングを行えるようになります。しかし、環境を整えるのに手間がかかりますので、スクレイピングを行うためにあえて覚える必要はありません。余程の事情が無ければPythonかRubyなどを覚える方を優先した方が有意義でしょう。
おすすめの本:「JS+Node.jsによるWebクローラー/ネットエージェント開発テクニック」
PHP
PHPは、WebサイトやWebアプリケーション開発に利用されることが多い人気の言語です。PHPは、本来スクレイピングに特化した言語ではありませんが、「PHPQuery」という便利なライブラリを使うことでWebスクレイピングが可能になります。
例えば、idやclassを指定することで、Webサイト上の特定のデータや画像データなどをピンポイントで抽出できるようになります。
PHPをマスターすれば、Webサイト制作からスクレイピングまであらゆる用途で使えますので、書籍などを参考に習得を目指してみてはいかがでしょうか。
おすすめの本:「PHPライブラリ&サンプル実践活用[厳選100]」
非エンジニアにおすすめのプログラミング言語2選
プログラミングはサーバー構築やデータベースの知識取得が必要なので、習得の難易度が高く、途中で挫折する方も少なくありません。そこでおすすめなのがVBAとGASです。ここでは、それぞれの特徴を解説します。
VBA
VBA(Visual Basic for Applications)は、Excelの拡張機能の1つで、PythonやRubyのように開発環境を用意せずとも、アプリケーション内でかんたんにプログラミングを行うことができます。
VBAでスクレイピングを行うためには、「Microsoft HTML Object Library」「Microsoft Internet Controls」といったライブラリを追加導入する必要があります。VBAの詳しい使い方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
参照:【初心者向け】ExcelとVBAでWebスクレイピング実戦!
おすすめの本:「Excel VBAでIEを思いのままに操作できるプログラミング術 」
GAS
GAS(Google Apps Script)は、Googleが提供するプログラミング言語です。GASを使えば、スプレッドシートやGmailなどの、Googleサービスの自動化を図ることができます。GASは複雑な環境構築が不要なので、非エンジニアの方でもすぐにコーディングを行えるのがメリットです。
GASを使えばスクレイピングも行うことができ、Webサイト上のデータをスプレッドシートに書き出すことが可能です。記述したスクリプトを定期実行するためのトリガー機能も用意されているので、毎回決まった時間や曜日にスクレイピングを実行させるといった処理も可能です。
おすすめの本:「Google Apps Script完全入門」
コーディング不要のWebスクレイピングツール3選
ウェブスクレイピングを行う際、必ずしもプログラミングスキルが必要なわけではありません。コードを使わずにWebスクレイピングを行えるツールも存在します。これらのツールは、直感的なインターフェースを持ち、誰でも簡単にデータ収集を行うことができます。以下では、おすすめのWebスクレイピングツールを紹介します。
Octoparse
引用:Octoparse
Octoparseは、強力なウェブスクレイピング機能を備えたツールで、非技術者向けに設計されています。簡単なドラッグ&ドロップインターフェースを提供し、クラウドサービスを利用してスクレイピングタスクを実行し、データの取得と保存を自動化します。さらに、テンプレートを利用して迅速にデータ収集を開始できます。
特徴
- ドラッグ&ドロップインターフェースで簡単に操作可能:簡単な操作でスクレイピングワークフローを作成可能です。
- クラウドサービスでデータの自動化が可能:クラウド上でスクレイピングタスクを実行し、データの取得と保存を自動化します。
- テンプレートを利用して迅速にデータ収集を開始:あらかじめ用意されたテンプレートを使用して、特定のウェブサイトからのデータ収集を簡単に始めることができます。
ParseHub
引用:ParseHub
ParseHubは、クリック操作のみでウェブスクレイピングを行うことができる強力なツールです。非技術者でも簡単に使用できる直感的なビジュアルエディタを備え、静的なウェブサイトだけでなく、JavaScriptによる動的コンテンツにも対応しています。さらに、データの出力形式も豊富で、様々なニーズに対応可能です。
特徴
- ビジュアルエディタで簡単に設定可能:視覚的にウェブサイトの要素を選択することで、スクレイピングの設定が可能です。
- 動的コンテンツを含む多様なウェブサイトに対応:静的なウェブサイトだけでなく、JavaScriptで動的に生成されるコンテンツにも対応しています。
- 多様な形式でデータをエクスポート:JSON、CSV、Excelなど、様々な形式でデータをエクスポートできます。
import.io
引用:import.io
import.ioは、企業向けの強力なウェブスクレイピングプラットフォームで、大量のデータを効率的に収集することができます。プログラミング不要のノーコードソリューションを提供し、リアルタイムでデータを抽出可能です。さらに、収集したデータを他のビジネスインテリジェンスツールやデータベースに簡単に統合することができます。
特徴
- ノーコードソリューションで簡単に設定可能:プログラミングなしでデータ収集を設定可能です。
- リアルタイムでデータを抽出:リアルタイムでデータを抽出し、必要なタイミングで最新情報を取得できます。
- 他のツールやデータベースと統合可能:収集したデータを他のビジネスインテリジェンスツールやデータベースに簡単に統合できます。
Webスクレイピングをする時の確認事項と注意点
Webスクレイピングを行う際には、法的および倫理的な側面を考慮しなければなりません。各ウェブサイトには独自の利用規約があり、これを無視すると法的トラブルに発展する可能性があります。以下では、Webスクレイピングを行う際の確認事項と注意点について説明します。
Webサイトの利用規約を確認する
ウェブサイトの利用規約には、スクレイピングが禁止されている場合があります。事前に対象サイトの利用規約を確認し、データ収集の許可が得られているかどうかを確認しましょう。また、利用規約にスクレイピングに関する明示的な記載がない場合でも、サイト管理者に確認することが推奨されます。
robots.txtファイルを確認する
ウェブサイトのルートディレクトリには、しばしばrobots.txtファイルが設置されています。このファイルには、ウェブクローラーに対するアクセス許可や制限が記載されており、スクレイピングを行う際のガイドラインとなります。robots.txtファイルに従ってスクレイピングを行い、アクセスが禁止されているページにはアクセスしないようにしましょう。
アクセス頻度に注意する
過度なアクセスは、ウェブサーバーに負荷をかけ、サイトのパフォーマンスを低下させる可能性があります。一定の間隔を設けてリクエストを送信し、適切なアクセス頻度を守ることが重要です。スクレイピングツールには、リクエスト間隔を設定できる機能が備わっているものもありますので、これらを活用しましょう。
収集データの利用範囲に注意する
収集したデータの利用目的を明確にし、個人情報や機密情報の扱いには十分注意してください。データを不適切に使用すると、プライバシーの侵害やその他の法的問題に発展する可能性があります。データの利用目的が合法かつ倫理的であることを確認しましょう。
まとめ
プログラミングでWebスクレイピングをマスターすることで、Web上のあらゆる情報を効率的に集めることができます。さらに得られたデータを加工したり分析したりするスキルを身に付けることも可能です。
こうしたスキルは、AI(人工知能)分野や、ECサイト・SNS運営、営業活動(競合分析、市場調査)などさまざまな分野で広く使われています。
書籍や動画コンテンツなどを参考に独学をしてみてください。もし、学習コストを掛けずにスクレイピングを行いたい場合は、スクレイピングツールがおすすめです。Octoparseなら、無料から使えるため、スクレイピングに興味がある方はまずは実際に操作をして、スクレイピングの素晴らしさを体験してみてください。