Webスクレイピングを導入する際、使用するプログラミング言語の選定は非常に重要です。目的やスキルに応じて最適な言語は異なり、それぞれの言語には得意分野や注意すべきポイントがあります。
本記事では、Webスクレイピングに利用されるプログラミング言語をランキング形式でご紹介します。
スクレイピングに最適なプログラミング言語の選定基準
スクレイピングに使う言語を選ぶ際は、スクレイピングの目的や言語の特徴、利用環境などを考慮する必要があります。
ここでは、スクレイピングに最適なプログラミング言語の選定基準を解説します。
ライブラリの豊富さ
スクレイピングツールを効率良く開発するためには、専用ライブラリの有無が大きなポイントになります。スクレイピング用のライブラリが充実している言語であれば、必要な機能を手軽に取り入れられ、開発スピードや運用の安定性にもつながります。
一方、ライブラリが少ない言語では、実装が煩雑になり、対応や保守に手間がかかるケースも少なくありません。
スクレイピングにおけるライブラリの豊富さは、言語選定時の最優先事項と言えるでしょう。
学習コスト
プログラミング言語の習得難易度も重要です。構文がシンプルで直感的に記述できる言語は、初心者でも早期に成果を出しやすく、学習モチベーションの維持にもつながります。
また、社内で既に扱い慣れている言語がある場合は、それを優先することで新たな学習コストを抑えられます。
他にも、インターネット上にある学習コンテンツの充実度や、ユーザーコミュニティの活発さも、言語ごとに差があります。問題が発生した際にすぐに調べられる環境が整っているかどうかも、実際の運用で大きな差につながります。
パフォーマンス
プログラミング言語には、それぞれ得意とする処理方式や実行効率に差があります。そのため、開発するスクレイピングの規模や頻度、対象となるWebサイトの構造を踏まえて選ぶことが大切です。
大量のページを扱う場合や、効率的な処理を行いたいケースでは、並列処理や非同期処理を得意とする言語を選びましょう。
既存システムとの親和性
スクレイピングで取得したデータは、社内の既存システムや業務プロセスと連携して活用されるケースが一般的です。そのため、使用する言語が自社のインフラやツールとどの程度親和性があるかは重要な指標となります。
スクレイピングの実装だけでなく、その後の運用や保守を見据えて、対象言語が業務環境とどれだけ適合するかを事前に確認しておくことが重要です。
Webスクレイピングにおすすめの言語
ここからは、Webスクレイピングにおすすめの言語をランキング形式で紹介します。
まずは、今回紹介する7つの言語について、特徴を簡単にまとめた一覧をご覧ください。
ランキング | プログラミング言語 | 特徴 |
1位 | Python | ライブラリが豊富で構文がシンプル。学習しやすく実装も柔軟。 |
2位 | JavaScript | Webとの親和性が高く、動的ページの取得にも対応しやすい。 |
3位 | Go | 実行速度と並列処理に強み。 |
4位 | PHP | Web開発との統一がしやすい。 |
5位 | C# | .NET環境での開発に強み。 |
6位 | Java | 業務システムとの統合性が高い。 |
7位 | Ruby | 小規模なスクレイピングに向いており、学習も比較的容易。 |
それでは、それぞれの言語について詳しく見ていきましょう。
1位:Python
Pythonは、Webスクレイピングにおいて最も扱いやすい言語のひとつといえます。
その理由は、スクレイピングを効率化するための専用ライブラリが充実している点です。代表的なライブラリとして、HTML解析の「BeautifulSoup」、ブラウザ操作の「Selenium」、高速なクロールに適した「Scrapy」などがあり、目的に応じた実装が短いコードで可能です。
また、収集データをそのまま機械学習や可視化に活用でき、業務レベルの高度な要件にも対応できる柔軟性も備えています。
参考記事:「PythonでWebスクレイピングする入門ガイド【サンプルコードあり】」
2位:JavaScript (Node.js)
JavaScript(Node.js)は、動的に生成されるWebコンテンツの解析に優れた特性を持つ言語です。非同期処理に強く、複数のページを並列で処理する際にも高いパフォーマンスを発揮します。
ブラウザ操作を自動化する「Puppeteer」や、HTTP通信を行う「Axios」など、スクレイピングに活用可能なモジュールも整備されており、柔軟な開発が可能です。
構文自体は初心者にやや難解な部分もありますが、モダンな開発環境に慣れているユーザーには特におすすめできる言語です。
参考記事:「JavaScriptを使ってスクレイピングをする方法を初心者向けに解説!」
3位:Go(Golang)
Go(Golang)は、シンプルな構文と高い実行性能を兼ね備えた静的型付き言語です。特に大量データの高速処理や、並列クローリングの実装を得意としています。
コンパイル後のバイナリが軽量であるため、リソースが限られた環境や単一バイナリでの配布を求められる業務にも適しています。安定稼働する高性能なスクレイピングツールを構築したい場合には、有力な選択肢となるでしょう。
4位:PHP
PHPは、WebサイトやWebアプリケーション開発で広く使われている人気のプログラミング言語です。スクレイピングにおいても、「PHPQuery」や「Simple HTML DOM Parser」などのライブラリを用いることで、比較的容易に実装できます。
Web開発とスクレイピングを同じ言語で統一したい場合には、PHPを選ぶと良いでしょう。
しかし、PHPでのスクレイピングにはいくつかのデメリット もあります。まず、非同期処理や並列処理が苦手 であるため、大量のデータを効率よく取得するには不向きです。さらに、動的なWebサイトのスクレイピングが難しいという課題もあります。
参考記事:「【初心者向け】PHPを使ってスクレイピングをする方法をわかりやすく解説」
5位:C#
C#は、Microsoftが開発したオブジェクト指向プログラミング言語で、主にWindowsアプリケーションやWebアプリケーションの開発に利用されています。特に.NET環境下では、HTML解析用の「HtmlAgilityPack」やHTTP通信ライブラリを活用することで、安定したスクレイピング処理を実装できます。また、「HttpClient」を利用すれば、HTTPリクエストを効率的に送信し、Webページのデータを取得できます。
一方で、Web特化の軽量ライブラリが少なく、クロスプラットフォーム対応には不向きとなります。主にWindowsを中心とした業務環境で、スクレイピングをシステムの一部として組み込みたい場合に、C#は有効な選択肢となります。
参考記事:「【初心者入門】C#によるウェブスクレイピングの方法とは?分かりやすく手法を解説!
6位:Java
Javaは、Webサイトやシステムの開発からIoT、産業機械など幅広い分野で使われているプログラミング言語です。スクレイピング用途においても、「Jsoup」や「HtmlUnit」といったライブラリを利用することで、HTML解析やブラウザ操作が可能です。また、既存のJavaベースの業務アプリケーションと連携しやすく、スクレイピングをシステムの一部として組み込むニーズにも対応可能です。
ただし、コード量が多くなりやすく、軽量なスクリプト用途にはやや不向きな傾向があります。
7位:Ruby
RubyはWebアプリケーション開発向けの言語というイメージが強いですが、スクレイピングにも活用可能です。「Nokogiri」や「Mechanize」などのライブラリを活用することで、HTML解析やフォーム送信、クッキー管理などを簡単に実装できます。特にNokogiriはXPathやCSSセレクタによる要素抽出に強く、複雑なDOM構造にも対応可能です。
ただし、パフォーマンス面ではやや弱く、大量アクセスや非同期処理を必要とするケースには不向きとなります。また、アプリケーションやWebサイトにおいて、Rubyの採用が減少傾向にあるため、将来性を考慮すると別の言語を採用した方が良いかもしれません。
プログラミング不要のWebスクレイピングツール
ここまで、スクレイピングに最適なプログラミング言語を紹介しました。しかし、プログラミング言語でスクリプトを作成するには、エラー対応、コードのメンテナンス、Webサイトからのアクセス制限対策など様々な問題が発生します。
短時間でデータ収集を実現したい場合や、開発に十分なリソースを割けない場合には、ツールによるアプローチが現実的です。
最後に、プログラミング不要のWebスクレイピングツール「Octoparse」を紹介します。
Octoparseの主な機能
Octoparseは、非エンジニアにも扱いやすいスクレイピングツールです。実際のWebサイトを確認しながら、数回のクリックでスクレイピングが可能となります。
スクレイピングの専門ツールとして、ページ送りやクラウド抽出、Proxy設定などの機能が提供されており、個人利用から本格的な業務利用まで対応可能です。
また、Octoparseのテンプレート機能を使うことで、食べログやX(旧Twitter)、Amazonなど有名Webサイトのデータ収集を簡単に実行できます。
参考記事:「【食べログ】Webスクレイピングを使ってうなぎの名店を一括取得」
Octoparseの活用シーン
Octoparseは、競合調査、価格比較、不動産情報の収集、求人情報の一覧取得、マーケティング用リスト作成など、多様な業務に活用可能です。
業界を問わず「定期的に同じサイトから情報を集めたい」「更新作業の工数・手間を減らしたい」というニーズに応える形で導入されるケースが増えています。特に、マーケティング部や営業部など非エンジニア部門でも扱える点において、全社的なDX推進も推し進めることが可能です。
まとめ
Webスクレイピングを習得すれば、Web上の膨大な情報を効率的に収集できるようになります。さらに、取得したデータを加工・分析するスキルを身につけることで、より価値のある情報活用が可能になります。
こうしたスキルは、AI(人工知能)分野をはじめ、ECサイトやSNSの運営、営業活動(競合分析・市場調査)など、さまざまな分野で広く使われています。
Webスクレイピングを独学で学びたい場合は、本記事で紹介した書籍などを参考に進めてみましょう。もし、学習コストを掛けずにスクレイピングを行いたい場合は、スクレイピングツールがおすすめです。
ノーコードで手軽にスクレイピングを試したい方には、無料で使えるOctoparseがおすすめです。まずは実際に操作し、その便利さを体験してみてはいかがでしょうか。
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